ああ、まったく実に心配だ。 「なまえさん?どうしました、具合が・・・?」 「ん、大丈夫。私は大丈夫だよ、うん、私はね」 「・・・?」 りんごジュースを取ってくれた沙織ちゃんにお礼を言い、窓から外を眺める。すでにギリシャを離れ、今は海の上だ。雲の隙間から紺碧のそれが望める。 太陽の光を反射するそれは、すごく綺麗で時間が許す限り眺めていたい。 「紫外線が目に悪いですよ」 「うんー。えへへ、でも乗り物から景色眺めるの、大好きだからさ」 「では、サングラスをお貸しします。それから、時差がありますから、少しお休みになられたほうが良いですよ」 「うん、そうだね。じゃあ、ちょっと眠るね」 飛行機のガラス窓に、さらに窓を下ろす。 沙織ちゃんが内線のようなもので連絡をすると証明も落とされた。 薄暗くなった機内で、椅子を倒して横になる。 ・・・さすがチャーター。さすが沙織ちゃん。さすが個人ジェット。 高校の修学旅行は後ろの人が気になって椅子をほんの少し後ろにずらした程度だったから眠ることもできなかった。だが貸切の今、後ろのひとなんていない。まったく気にせずに椅子を倒すことができる。・・・もうさすが、以外の言葉が出てこない。 悠々と横に倒された椅子で薄暗い機内を眺める。沙織ちゃんはもう眠ったようだ。 サガさんは今何をしているだろうか。 お昼御飯はきちんと食べているかな。 日本について、時間を見て電話をしよう。・・・あれ、聖域に電話ってあったっけ?・・・皆小宇宙通信とかよくわたしには分からないもので連絡していた気がする。あれ、どうしよう!!・・・電話、・・・あとで沙織ちゃんに相談しよう。 それにしてもサガさんは、ちゃんと休憩もとってくれるだろうか。 それはアフロディーテさんに頼んできたから平気かな。 ・・・はたして彼が平和的手段でサガさんを休憩に導けるかどうかは考えないことにしておこう。 執務室に薔薇が舞わないことを祈るばかりだ。 とりあえず今私が最も願うことはミロさんが脱走しないことだ。頼むから働いてくれ。 シオンさんは不安だけど大丈夫だろう。根は真面目だし、すごくしっかりしているし頼れるし!・・・やっぱりミロさんが不安。サガさんの負担を増やさないでくれ。カミュさん、どうか親友の面倒をお願いします。極東から応援しています。 なんだか、不安要素が多いなぁ。 「・・・うう」 心配し過ぎたせいだろうか。 わずかに痛む胃を抑えながら、なんだかサガさんみたいだと思って、少し嬉しくなって口元が緩んだ。 嫌なお揃いだけれど (彼とならそれすら嬉しい) (そういえば、私は日本に何しに行くんだろう?) |