馬鹿な仲間達



痛い、と円堂が普段は出さないような小さく低い声で呟いた。今日の練習はいつにもましてハードで、不覚にも怪我をした。だがその事を言う訳にはいかなかった。
マネージャー達も忙しいらしく皆の怪我が多くて大変そうだったので多分疲れているし、今更言ったら多分怒られる上夜だから皆の睡眠を邪魔してしまう。朝でいいや、と考えていた。







「あ゙ー、どーしよ」





未だに熱をもって痛む腕を抑えてごろりと寝転がった。天井をぼんやりと見上げて様々な事を考えた。豪炎寺が転校してきた事とか、鬼道の雷門入りとか、ジェミニストームとの闘いとか、ヒロトの事とか、自分が落ち込んだ事とか、………………






全てを通り越してやっとここまで来たんだ。やっと、皆で世界に挑戦出来るようになったんだ。もう、落ち込んでいる訳にはいかない。キャプテンなんだ。
俺はキャプテンなんだよ。






俺が失敗すれば日本の想いが、皆の挑戦が、世界が、終わるんだ。駄目だ、それだけは。






怪我をしているからかどんどん憂鬱な気分で暗い思考に耽っていく。いつもは考えない事までどんどん頭に浮かんでは消えずにしこりとなって残る。頭がどうにかなりそうだ。



ああ、久しぶりにこれはヤバそうだ。はは、と渇いた笑いが口から零れ落ちた。そして涙も一つ、零れた。頭にあるオレンジをぎゅ、と握り締めた。



「サッカー、は、楽しい。楽しいんだよ。サッカーは。」



呪文のようにぶつぶつと呟いた。こういいきかせなければだめだとだれかにいわれたきがしたから。










しん、と闇独特の沈黙を経て涙をぐいっと拭った。もうすぐ夜が明ける。また皆の明るいキャプテン、想像通りの円堂守にならなきゃ。ずし、と肩に何かが乗っかる。
一つ溜息を吐いて起き上がる。今日も特訓、か。頑張らなくちゃな、と足を地面につけて立ち上がった。




と、





がたっ!と扉が揺れた。なんだなんだと急ぎ足でそちらに向かう。小さな話し声が聞こえてきてまさか、とドアを開けると、






「お前ら何やってんだ…」





イナズマジャパン(大人組と不動と飛鷹以外)が仲良さそうに重なって倒れていた。苦笑いを浮かべながら話す秋。



「何だか円堂君の様子が変だって聞いたから、もしかしたら怪我してるのかもって思って部屋に来たんだけど、皆心配でここに来てて。で、入ろうと思ったら、円堂君泣いてて。話しかけ辛くてどうしようと話し合ってたらこのとおり…」





全員うんうんと頷いて苦笑いを浮かべている。

ここで俺は一つ勘違いしてたんだな、と思った。こいつらは黙って背負われる奴等じゃないなあ、と。
そう思ったらいきなり肩が軽くなった。
そして湧きあがる笑いが堪えられない。駄目だこいつら最高すぎる。


「、あはは!サンキューな、皆!」












馬鹿な仲間達数名
(え、どう致しまして…?)








キャプテンだって落ち込んだ!という願望を込めて^^

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