夢枕に立ちて「またあいませう」







「皆、何やってるんだよ…!?俺達のサッカーを、やろうぜ…」



なあ、みんな……!


くすくすと嘲る様に笑う皆は胸元にエイリア石を光らせて、黒いマントに身を包んでこちらを見ていた。
ダークエンペラーズの闘いが終わって、この悪夢も終わった筈だったのに、また皆、研崎の部下に誘われていたらしく。何を言われたのか分からないけど、気が付けば俺以外の皆が闇に堕ちていた。



「なあ皆…何でエイリア石なんかに…!過ちに気付いたんじゃなかったのかよ!!」





「……………円堂、お前もこっちに来たら分かる。」





「訳分かんねえよッ、何でお前らが…!!なあ、なんで!!」




「お前はそちらにいる限り、分からないだろうな、一生」






眩しすぎたんだ、お前は。ぽつりと呟かれた一言に怒りが沸き起こる。ダークエンペラーズの時はそれどころじゃなくて、どういう意味か分からなかったけど、今なら分かる。
お前らは俺をカミサマか何かと勘違いしてないか、なあ。
俺だって、苦しくて哀しくて辛くて赦せなくて憎くて痛くて怒りで我を忘れそうだったって言うのに。キャプテンだからお前等に何も相談できなくて両親も近くにいなくて監督にもキャプテンを下ろされるのが怖くて何も言えなくて。




死にたくて。




「……………………なあ、お前らはさ、」

くす、少しだけ笑いが出た。





「残されたものの気持ちをかんがえたことはあるか?」


ぽかんとしている皆に笑いかけながら聞いた。




「…は、?」



「いきなり何言ってるんだ、えんど」













「辛くて哀しくて悲しくて死にたくて殺したくて悩んでた俺の気持ちを理解しようとした奴は一体何人いるんだろうなああ闇に堕ちた奴なんかの中には一人もいないかな?だって自分の事で精一杯だったんだからさ。お前らを大事に大事に思っていた俺の気持ちなんか、」

分かる筈ないだろうなあッ、!!





ぺたりと座り込んだ俺を皆がまるで有り得ないものを見るかのような目付きでこちらをみてからゆっくりと俺に近付いて来た。


「円堂、お前…、」



す、と伸ばされた手をしっかりと振り払ってから自分のよろつく体を自分の足で支えて再び立ち上がる。


「それでもおれはおまえたちだけがたよりだったのに」




つう、と一筋水が頬をつたった。あれ、でも俺笑ってるのに。



まるで自分の物じゃないようにただ動き続ける唇が怖くてそれ以上は何も零さない様にぎゅっと口を噤んだ。
信じていた仲間に裏切られるのは悲しくて、辛い事。






「もういいや、」










夢枕に立ちて「またあいませう」
(またあおう)(悲しみがない次で、)






何だか円堂さん右…っぽくない?

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