※京都組が中学時代/全3ページ
同じクラスの志摩ってエロスがなんたらかんたら、近所のお姉さんがなんたらかんたら、そんな話ばっかしてくる。
話にならんからいつも無視ってやってたけど、ある日を境にそういうわけにもいかなくなった。
輝け僕らのせい春「志摩、勝呂くん紹介してくれへん?」
「柔兄への淡い恋心はどこ行きはったんかいな〜」
「遙か彼方や」
初めて柔造さんの写真を見せてもらったとき、こんなかっこええ人が世の中におるなんてって。でも所詮は志摩の兄。こんな風にどうしようもないやつに決まってる。
「勝呂くんてかっこええやん。お願いやから紹介して」
「それが人にものを頼む態度かいな」
「うっさい、エロ魔神。忘れたとは言わさへんで。ミオちゃん紹介したったやんか」
ミオちゃんとは私の友達である。志摩がしつこいから紹介してあげた。あんなかわいい子、志摩にはもったいない。
「ミオちゃん、ごっついええ子やなぁ〜」
「やろ」
「リサちゃんも紹介してくれへん?」
「は」
「ええやん。坊のことちゃんと紹介するから」
なんだっけ?仏語で確か死ぬことって往生やな。ほんま往生しぃや。こんな坊主がおってええんか。
「ええなぁ、せいしゅんやなぁ」
「志摩ほんま自重しぃや」
志摩が青春って言うと全部『性春』にしか聞こえない。青春って言葉を使うな。汚れる。
私と話してても志摩は机の上に広げている雑誌のページをめくっていた。なんなんよ、ほんま救いようがないな。
「その歳でエ…エロ本見るとかほんまないわ。おっ、大人が見るもんやろ、それ」
「あ、照れとんのやな。かぁいいなぁ」
「せやから自重しろって」
志摩から雑誌を取り上げると慌てた様子で取り返そうと手を伸ばしてきた。気持ち悪いから直ぐに返したった。
「ちなみに坊は俺が知っとる中でも特に変態やで」
「…」
「それでもええの」
「変態ってあんたみたいなやつに使う言葉や」
阿呆みたいな顔して笑う志摩に私は持っていた消しカスを投げつける。「虫やで〜!」と叫んでやると、志摩は顔を真っ青にしてイスから転げ落ちた。
男としてあるまじき失態やな。
覚えておきたまえ、これぞせい春ってやつなのだよ