「明日の朝には抱いてやる」

 なんて言われて、翌朝期待のせいか早くに目覚めてしまった私は変態なのでしょうか。いつもより一時間早い起床。隣には無防備な寝顔を晒して私をぎゅうっと抱き締めている課長。ツン、と頬を指で突いてみたら。

「……はよ」

 少しだけ開いた目。眠そうにとろんとした瞳が私を映した。

「お、はよ、ございます」

 起こしてごめんなさい、なんて言ったら期待して早く起こしたみたいに思われるよね。違うの、ただ興味本位でほっぺたを触りたくなっただけ。うん、ただそれだけ。

「ひゃう、」

 変な声が出た。課長の手が腰を撫でたから。

「何その声。どんだけ期待してんだよ」
「違、いきなり触るから……っ」
「はいはい、俺が悪い俺が悪い。だから抱かせろ」

 きゅーん、とか、どきっ、とか、課長を好きになって初めて知った音がたくさんある。私の身体は課長の言葉一つで熱くなり、濡れて、求めてしまうのだ。

「はい、とりあえず脱いでー」

 私が惚けている間にも課長は私の体を起こし服を脱がせていく。パチンとブラのホックを外す音にハッとした時にはもう全てを晒していた。

「朝日の中で見る素っ裸もなかなか乙なもんだな」
「っ、あまり、じっくり見ないでくださいっ」
「やだね」

 ニヤリと笑った課長は私をベッドに押し倒した。そして瞬く間にパンツを取り払ってしまうと、ぐいっと両脚を広げて固定してしまった。

「おー、いい眺め」
「やっ、はずかし……っ」
「アイツには想像もつかないくらいエロいセックスしような、由紀」

 じゅん、とまた蜜を溢れさせてしまった私は、また課長に笑われてしまった。

***

「あっ、ああっ、あっ」

 馬鹿みたいに喘ぐしかできなくて脳が蕩ける。さっきから何度イッただろう。じゅるじゅると音を立てて吸われたり、かと思えば舌先を尖らせてクリトリスをツンツンと刺激する。腰を高く上げられている状態だから、課長の鋭い目で視姦までされる。感じすぎておかしくなるって、本当にあるのだと思った。

「あー、ほんとはもっとじっくりやりてーんだけど。朝ってやっぱ時間ねーな」

 そう言ってようやく腰が解放された。ぴくん、ぴくん、と痙攣したまま動けない。その間に課長はコンドームを装着したようだ。

「由紀」

 意識を飛ばしかけていた私の意識を引き戻して。課長は私の中に入ってきた。

「あああっ、」
「あー、やべ、入れただけでイキそう」

 腰の下に腕を入れて、ぎゅっと抱き締められる。降ってきたキスに夢中になっていたら、中の課長が少し大きくなった気がした。

「知ってる?女って好きな男の唾液で興奮すんだって」
「ふ、あ、おっき、」
「由紀、もっと、興奮して」

 おかしくなるくらい。耳元で囁かれた言葉に最後の最後、細い糸みたいに残っていた理性がぷつんと切れた気がした。ああ、仕事行きたくない。

「ひっ、はっ、あっ、あっ、」

 ガツガツと一番奥を突かれる。脳まで揺さぶられる。

「イ、く……っ」

 中の課長に纏わりついて、絡みついて、扱いて。頭のてっぺんから足の爪先まで全部、ピンと張り詰めて。すぐに弛緩した。

「上手に中イキできたなぁ」

 まるで子どもにするみたいに優しく頭を撫でられて、恥ずかしいのに嬉しくなる。中イキとか、わざわざえっちな単語使うことないのに。

「もうちょっと付き合ってな」

 少し下がった体温がまた一気に上がる。ひとつになって、絡み合って。セックスって気持ちいい。そう思えるのが嬉しかった。

***

「なんか今日椎名さんエロくないっすか」
「あ?」
「フェロモンめちゃ出てるっていうか、幸せそうっつーか……」
「セクハラやめろ」
「あ、すみません」

 その日の仕事中、課長と同僚男性の間でそんな会話が繰り広げられ、

「抱いたの俺だし、俺のせいだな」

なんて独り言を呟きながらニヤリとしていた課長のことなんて、私は全く気付いていなかったのだけれど。
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