03

「っ、あ……」

 すずちゃんの口内は熱くて濡れている。咥えられただけでビクンと自身が跳ねた。すずちゃんは何度も俺の自身を愛撫したことがあるから俺の気持ちいいところを知っている。

「ちゅ、んむ」

 亀頭を咥えて、舌で窪みを刺激する。吸われながら舐められると、まるですずちゃんの中に入っているみたいだ。

「んん?!」

 舐めるのに夢中になっているすずちゃんに痺れを切らしたのか、もう一人の俺が腰を振った。バックは一番奥まで届くから、すずちゃん大好きだもんね。気持ち良さそうに息を荒げながら必死で俺のを咥える。
 もう一人の俺はすずちゃんのお尻を掴んでもっと奥へ奥へと入ろうとしているようだった。パン、パン、と2人の肌がぶつかる音がする。

「っ、ん、んむ、んん」

 くぐもった喘ぎ声を上げながら必死で俺自身を愛撫するすずちゃん。たまらなくなって、すずちゃんの頭をぐっと押さえた。

「んんっ!」

 すずちゃんは喉の奥まで咥えるのが好きだって知っている。苦しそうだけど、すずちゃんの中に入っているもう一人の俺が「っ、」と顔を顰めた。多分、すずちゃんの中がぎゅうっと締まったのだ。
 ぐぽ、ぐぷ、とすずちゃんの喉の奥を犯す。

「っ、すずちゃん、出すよ……?」

 頭を押さえて腰を振る。遠慮もなく、ただ射精するためだけに。

「っ、出る……っ」

 すずちゃんの喉に向かってびゅる、びゅる、と精子を吐き出した。すずちゃんは苦しそうにごほ、と一つ咳をする。気持ち良すぎて腰が震える。最後の一滴まで搾り出すようにゆるゆると腰を振って、ようやくすずちゃんを解放した。

「うーわ、これはたから見ると結構鬼畜だね」
「でもすずちゃんの中締まるでしょ?」

 すずちゃんはうっとりした顔で俺の精子を飲み込んで、えへ、と笑った。

「翔さん、きもちい……」
「あー、やばい、また勃った……」

 大きくなり始めたそれを、またすずちゃんが咥える。いつも俺がすずちゃんを責め立てて、何度も快楽の底に引き込むけど今日は逆。すずちゃんの口で何度も気持ちよくさせられる。
 後ろの俺はすずちゃんの中をじっくり堪能しているようだ。はじめは早く代われよと思ってたけど、口も気持ち良くてもうどうでもいい。

「すずちゃんをこんなにえっちな子にしたの誰だっけ……」
「俺」
「違う、俺だよ」

 不毛な争いだ。
 すずちゃんは中にいる俺と口にいる俺、どっちも丁寧に愛撫してくれる。可愛くて愛しくてどうにかなってしまいそうだ。

「はー、すずちゃん、俺もイきそう……」

 もう一人の俺が身体を倒してすずちゃんの背中にキスをする。それを感じたすずちゃんは愛おしそうに微笑んで、そしてうっとりしたように目を細めた。うわ、すずちゃんいつもこんな顔してるんだ。めちゃくちゃ可愛い。

「すずちゃん」

 俺はすずちゃんの口から自身を引き抜いて、両手で頬を包み込むと唇を奪った。さっき吐き出した精液の味がちょっとしたけれど、それも気にならないくらい愛おしくて。

「愛してる。すずちゃんは俺のものだよね?」
「違う、俺だろ」
「あっ、あん、」

 寝バックの体勢で何度も腰を打ち付けるもう一人の俺は、気持ち良さそうに荒い息を吐いている。早くイッてくれないかな。俺も早くすずちゃんの中に入りたいんだけど。

「翔さん、こっち来て?」

 もう一人の俺に突かれて気持ち良さそうに喘ぎながら、すずちゃんが俺の腰を持って誘導する。そしてまた俺のを口に含んだ。エロい。死ぬほどエロい。言葉にならない感動に、またそれが大きく硬く勃起する。熱くて気持ちいいすずちゃんの口の中に、俺はまた射精した。

「っ、イきそう、すずちゃん」

 もう一人の俺も切羽詰まった声でそう言い、突き上げる激しさが増す。あまりの激しさにすずちゃんの口の端から飲み込みきれなかった俺の精子が溢れて、それがまたエロくて。

「あっ、あっ、あっ、かけ、るさ、」
「っ、イく……!」

 すずちゃんの身体がビクンビクンと大きく痙攣したと同時、もう一人の俺がすずちゃんに腰を押し付けて動きを止めた。その光景を見て、俺の自身がまた上を向く。

「次、俺ね」
「分かってる」

 くったりしてしまったすずちゃんの耳元に唇を寄せて囁く。

「次は俺が愛してあげるからね」

 すずちゃんの目が嬉しそうにとろんと細められた。

***

 ハッと目が覚めるとベッドの上にいた。どうやら眠ってしまったようだ。隣を見るとすずちゃんがぐっすり眠っていて、もう一人の俺はどうやらいないようだ。

「翔さん……?」

 すずちゃんがうっすらと目を開けて俺を見ている。俺はすずちゃんの方に体を向けて抱き締めた。

「昨日は無理させてごめんね」
「昨日……?」

 すずちゃんは不思議そうに首を傾げた。

「昨日えっちしてないよ?」
「……え」
「だって私生理中だし」
「……」

 そう言えば二人ともしっかり服を着ている。と、いうことは……

「……夢?」
「夢?どんな夢?」
「俺が二人になってすずちゃんと3Pする夢……」
「ふふ、それって願望?面白いね」

 えっちできなくて欲求が高まってあんな夢を見たのだろうか。確かに俺が二人になるなんてありえないことだけど……ちょっと残念。

「生理終わったらいっぱいえっちしようね」

 宥めるみたいに頬にキスをされて、すずちゃんの胸に抱き付く。すずちゃんは俺の頭を撫でた。
 夢のせいでちょっと危ない性癖の扉が開きかけたけど、ぐっと抑える。さすがに俺以外の男がすずちゃんに触るのは耐えられないし。あー、やっぱり俺分裂できないかな。非現実的なことを考えながらすずちゃんの腕の中でそっと目を閉じたのだった。

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