弱いトコロ



「弱ってる時にこんなことするなんて君って俺に負けないくらい最低だね」
「ふぁっふぇ、ふぁふぇふぇふぁ」
「っ、そこで喋らないで」

 口の中で大きくなっていく楓さんの自身に、一生懸命舌を這わせる。熱のせいか快感のせいか、荒い息を吐き出す楓さんに愛しさが募って。私はそのまま微笑んだ。

「何ニヤニヤしてんの。気持ち悪いよ」
「楓さん、気持ちいい?」

 口を離して手で扱けば、ビクンビクンとそれが揺れる。楓さんは少し余裕のなさそうな顔を背けて。

「っ、あっ、イく……っ」

 一際硬くなったそれの先端から白濁が飛び出して私の手を汚した。

「君は俺の今までの経験の中で見た目もテクニックも中の中。そうやって体で俺を落とそうとしても無理だと思うけど?」
「大丈夫です、私これからもっと上手くなるんで」
「俺はできれば君ともう関わりたくない。面倒だ」
「残念ながら、私はあなたのことを諦めたくないので。それに楓さん、ここもう復活してるんですけど?」

 手に飛んだ白濁を舌で掬って、楓さんの自身も綺麗にする。楓さんは話しながらも私の舌をジッと見ていて。
 私だって本当は、こういうことが得意なわけじゃない。恋愛経験だって多いほうじゃないし、経験人数だって楓さん含めて二人だ。でも、楓さんに好きになってもらおうと考えた時、ただ好きだと言っているだけじゃダメなのだと思った。楓さんは経験豊富だから、さっき自分で言ってたみたいに私より可愛い人だって、私より経験豊富な人だって、たくさん抱いていると思う。だけどこの体を駆使する方法しか私には思いつかない。……なんて、本当は私が楓さんに触れたくて、触れてほしいだけだ。

「楓さん、挿れますね?」
「俺熱あるんだけど」
「寝ててください。で、私に移してください」

 避妊具を付けて、楓さんの腰に跨る。真っ赤な顔で私を見上げる楓さんは、呆れたような顔をしていて。でも瞳だけは期待に濡れてギラギラと光っていたから。私は躊躇なく腰を下ろした。

「あっ、ああっ、楓、さ、」
「っ、ほんと、今日は学校に行かずに大人しく寝てればよかった」

 そういえば、どうしてこうやって楓さんの家に来ることになったんだっけ。働かない頭の中で、ぼんやりと考える。ああ、そうだ。今日は朝に楓さんがカフェに来なかったからどうしたのだろうと思っていた。そしてたまたま見かけた楓さんが何だかフラフラしていて。看病を口実に家に連れて帰ってきたのだ。楓さんは少し嫌そうな顔をしていたけれど、風邪のせいで私をあしらう元気もなかったのだろう。私やっぱり楓さんの言った通り、弱ってる時に手を出すなんて最低なのかもしれない。

「はぁ、寝かせてよ」
「んっ、ごめ、なさ、楓さんに、触れたくて……っ」
「……。こうなったらほんとに風邪移してやる」

 突然起き上がった楓さんが私の後頭部を押さえて、唇を奪った。貪るような激しいキス。熱い、熱い熱い。全部、熱い。下から突き上げるような律動に私は甘い声を上げる。でもその声も全部楓さんの口の中に消えて行って。

「はぁ、ほんと、どっちも最低」

 唇を離して、額はくっつけて。至近距離で楓さんが笑う。ああ、笑顔、初めて見たかも。上辺だけじゃない、笑顔。

「……好き」
「俺は好きじゃない」

 ちゅ、と唇を重ねて、私たちは更に熱く体を重ねた。


「あー、ほんと怠い」
「お粥食べてください。安心してくださいね、今日は泊まりますから」
「勘弁して、寝れない」
「子守唄歌ってあげます」
「本気でいらない」

 そう言いながらも真っ赤な顔で私が作ったお粥を食べる。完璧な楓さんが弱っているところはなかなかレアだろうから、見られて嬉しい。ニヤニヤしていたらキモいと言われた。でも嬉しいからいいんだ。
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