まるくてやわくてほんのりにがい
お風呂に入ると、香水の匂いが消えるから少し安心する。ソファーに隣に座ってテレビを観ていたら、譲さんの手が私の手に触れた。ピクッと反応してしまう。
「絵麻ちゃ」
「あ、そういえば今日、職場に新しい人が来たんです」
譲さんが何か言おうとしたのを遮って、別の話題にする。譲さんはそれについて何も言わず、「そうなんだ」と穏やかに返してくれた。
「すっごく真面目な人で、いい人そう」
「よかったね」
譲さんと話す時は、大抵私が喋っている。譲さんはちゃんと聞いて、楽しそうに相槌を打って、しっかり覚えていてくれる。こんなに優しくてマメな人、モテるに決まってるんだよな……。
「あ、私そろそろ寝ようかな。譲さんは?」
「絵麻ちゃん」
立ち上がろうとした私の手を、譲さんが握る。熱のこもった目で見つめられて、どくんと心臓が跳ねた。
「逃げないでよ」
「っ、逃げてるわけじゃ……」
「俺とするの、いや?」
力無くフルフルと首を横に振る。嫌なわけじゃ、ない。むしろとても気持ちいいし、どちらかと言うと好き。でも譲さんとすると、私ばかり夢中になっているのを思い知らされて辛いの。
「絵麻ちゃん」
手を引かれる。ソファーに逆戻りした私は譲さんの腕の中。体温を感じて、逞しい身体に抱き締められて、ドキドキする。好きだって思う。でも、それと同じだけ辛くなる。この人は、他にもこんなことをする女の人がいるんだって思うから。
抱き上げられて寝室に向かう。テレビも電気もその時に消してしまった譲さんはもうリビングに戻るつもりはないみたいだ。
「歯磨きしたい……」
「ん、後で」
ベッドに下ろされると同時にキスをされた。ちゅ、ちゅ、と触れるだけのキスの後、ぬるっと肉厚な舌が入ってくる。逃げてしまう舌を執拗に追いかけ、絡める。譲さんとのキスは脳までどろどろに蕩けてしまいそうだから少し苦手だ。
「はー、はー」
「可愛い。あれ、ブラジャーしてるの」
肩で息をする私を見下ろして、譲さんが舌舐めずりをする。そして私の胸に視線を下ろして言った。コクンと頷く。だって、恥ずかしいんだもん……
「苦しいでしょ?寝る時くらい外せばいいのに」
背中に回った手がプチンとホックを外した。開放感と、ふるんと揺れる胸。は、と小さな吐息が漏れて慌てて口を塞いだ。
「声我慢しないで?」
譲さんは楽しそうに笑いながら服の中のブラだけをずり上げた。パジャマは着たままだ。今日は白いパジャマだから、胸の色が変わったところが少し透けている。譲さんが舌を伸ばした。
「ふっ、ん……」
チロチロと先っぽを舐められると目の端に涙が滲んだ。パジャマの胸のところの色が変わっていく。突起が透けているのが分かって、譲さんが指でツンと触った。
「透けてる。エロいね」
「っ、恥ずかし……」
「大丈夫、可愛いよ」
もう一方の突起もシャツの上から舐められて、両方透けてしまう。刺激されて大きくなった突起がシャツにぷくんと浮いていて、恥ずかしくて目を逸らしてしまった。
「絵麻ちゃん、こっち見て」
「恥ずかしいもん……」
「はー、可愛い。そんなに可愛い子にはイタズラしちゃうよ?」
譲さんの手が内股を撫でる。ふ、ふ、と荒い呼吸が漏れて、ショートパンツの中に入ってきた時には「あっ」と小さく声が出た。指が中心に触れる。湿った感覚に身体が震えた。
「絵麻ちゃん、濡れてるね」
「っ、言わないで、くださ……ひっ」
下着越しに突起を押された。ぴくんと揺れる身体。そこを触られると何も考えられなくなっちゃうからダメなのに。
「あっ、あっ」
爪で引っ掻かれたり、指の腹で何度も擦られたり。気持ち良くて腰が跳ねる。譲さんは私の顔をじっくりと見てくるからとても恥ずかしくて、手で顔を隠した。
「ダメ、隠さないで。感じてる絵麻ちゃんの顔見たい」
「やだ、恥ずかしい……」
「はは、めちゃくちゃ可愛いね。指挿れてもそうやってできるかな」
下着の脇からつぷ、と指が入ってきた。濡れたそこは簡単に指の侵入を許す。内側から感じる譲さんの感覚に胸が震えた。