koneta
11/16,06:08@悠介×彩香(優しい攻防戦)
窓の横で煙草を燻らす。煙は一応外に向かって吐く。先生はそれで学校のルールを守っているつもりのようだ。
「先生、校内禁煙ですよ」
「あ?外に向かって吐いてるから平気だろ」
「校内って学校の敷地ってことです」
「ブツブツうるせぇな、教師か」
「教師はあなたです!」
私は生徒会長なのだ。生徒を代表して先生に意見だってする。こんな不良みたいな教師がカッコいいだなんて騒いでいる女子たちの目を覚まさせてやらないと。
「お前さー、休み時間の度にここ来るけど何なの。俺のこと好きなの」
「そそそそそそそそ」
「そ?」
「そんなわけないじゃないですか自惚れるのも大概にしてください私が好きなのは」
「あー分かった分かった、俺が悪かった、ごめんごめん」
先生はとても面倒臭そうにそう言ってまた煙草を吸った。自分で言ったくせに。
「私はあなたのような不良にちゃんとしてほしいから来ているんです、来たくて来てるんじゃありません!」
「何、俺生徒みたいな扱いなの」
「そんなだと就職もできないし結婚もできませんよ!」
「……。お前ほんとに俺を何だと思ってんの。ちゃんと教師という職に就いてますが」
「そうですけど、……」
「それに結婚もしてんだけど」
「えっ」
あ、え?結婚?結婚してるの?
「もう分かったから教室戻れ」
シッシッと手で追い払われる。先生はいつの間にか煙草を消してデスクに向かっていた。
そこからどうやって教室まで帰ったのかは覚えていない。ズキズキと痛む胸の原因に気付いたのはそれからしばらくしてからだった。