koneta

08/26,06:05@綾人×真琴(恋するスピカ)


「うわあ、綾人くんカッコいいー」
「ほんと、抱かれたい」
「色っぽいもんね」

 大型ビジョンに流れるCMを見ながら女子高生が話している。そのCMは、数ヶ月前まで綾人くんが撮影していた新しい映画のもの。大胆なラブシーンが話題で、綾人くんもたくさん肌を露出している。映っているのは"俳優・菅野綾人"だ。知らない人みたいで、私も色っぽさに見惚れてしまう。



「見たよCM」
「あ?」
「あんな濃厚なラブシーンあったんだね」

 嫉妬はしない。だってあれは仕事だって分かってるし。今までだって浮気というかむしろ私のほうが遊びなのかなって思うことはたくさんあったから、仕事だって割り切って観れる映画やドラマのほうが楽。菅野綾人って色っぽいなーって、今日の女子高生みたいに芸能人として見れるし。

「真琴」

 綾人くんが後ろから抱き締めてくる。そして頭や耳、首筋にキスを落としてくる。くすぐったくて洗っているお皿を落としそうになるからやめてほしい。……いや、うそ。嬉しいからやめないでほしい。

「ふふ、くすぐったいよ」
「真琴、抱きたい」
「っ、なに、」
「こっち向け」

 命令口調なのに優しく私の顔に手を添えた綾人くんは、振り向いた私に丁寧にキスをする。ちゅ、ちゅ、と唇は離さないまま、何度も。
 私は普通の女だ。女優さんみたいに特別綺麗なわけじゃないし、無駄毛の処理をたまに忘れることもあるし、エステだって友達に誘われて1回行っただけ。
 こうやって綾人くんに触れられるのは、たまたま生まれた家が隣同士だったから。偶然だった。でも今は、それを奇跡だと思う。家が隣同士じゃなかったら綾人くんの彼女にはなれなかったことを卑屈に捉えるんじゃなく、運命だったんだって。そう思えるようになってきたのは、綾人くんに大切にされてるって感じることができるようになったから。

「真琴」
「んっ、」
「俺が抱きたいと思うの、真琴だけだから」

 私は全然気にしてないのに、綾人くんのほうが気にしていたらしい。ふふっと笑ってしまった私を綾人くんは怪訝そうに見たから、もう一度キスを強請った。
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