koneta
06/06,06:02@日向×依子(三度目の恋)
「ねぇヨリキスしよー」
「今仕事中だ!」
カウンターに座ってにこやかにそんなことを言う立花はいるだけで嫌でも周りの視線を集める。確かに見た目だけは超絶いいから私も立花を知らなければ思わず振り向いてしまうだろう。この店には牧瀬がいるから、まだ視線は分散されるから普段よりマシだけど。
そんな立花が私に絡んでくるから私も視線を集めてしまう。そしてヒソヒソされる。普通の女で悪かったな!!
「なんかピリピリしてんね?」
「この忙しい中あんたに絡まれてるからね」
「可愛い顔が台無しだよー」
「あんたも辛気臭い顔してるとせっかくのイケメンが台無しだよ」
そう言うと立花はピシッと固まった。ニコニコしたまま。
「なんかおかしいと思った。嫌なことあったのかな」
私の隣に来た牧瀬がそう言った。いつもの100倍胡散臭い笑顔だったからすぐにわかった。
「立花?たちばなー」
目の前で手をひらひらしてみたら、ハッとしたように立花が動いた。そして胡散臭い笑顔を消した。
「別に、仕事でちょっと嫌なことあっただけ」
「それでヨリちゃんにキスしてもらって元気になろうなんて日向も可愛いとこあるね」
牧瀬にからかわれて立花が頬を膨らませる。だから三十路の男がその顔やめろ。
「はいはい、あとでしてあげるからちょっと待って」
「そうやって適当にあしらうのやめてくれる!」
本当に、面倒くさい男だ。でもそういう時に当たり前のように私のところに来てくれるのがちょっと嬉しかったりする。私も充分面倒くさい女だ。