ネタ | ナノ

バッドトリップ! #6

プレゼントするなら関東大会で青学と氷帝が激突した回がいいだろう。それなら氷帝のメンバーがみんな出ているはずだ。確か、コミックスなら15巻あたりだった気がする。
私は古本屋に着くとまっすぐJUMP系統の棚を目指した。当然、テニプリはすぐに見つかる。
中を確かめようと何冊か引き出してページをめくる。

「……え?」

私は手にしたコミックを閉じて表紙を確かめた。間違いなくテニスの王子樣だ。リョーマや手塚も出ている。

「……え、あれ」

関東大会初戦で戦うのは「炎帝学園中等部」だと書かれている。炎帝など記憶にない。
勘違いしてるだけ?氷帝が青学と戦ったのは関東大会初戦だと思っていたけど第二戦だったっけ?
私はさらに何ページか紙をめくって、絶句した。

忍足が、いる。
日吉も樺地も宍戸もいる。

……「炎帝学園中等部」のレギュラーとして。

「え、はあ?」

公式でテニプリのパロディ作品とか出てたっけ。それとも跡部の方が公式パロディの登場人物とか?
私は混乱したまま、何冊かテニプリを購入した。それを脇に抱えて、古本屋のそばで朽ちかけていた古い電話ボックスに入る。うっすら覚えていた友人の番号を押すと、すぐに通話は繋がった。

『もしもし』
「もしもし、カナ?私、わたし」
『なあんだ、びっくりした!公衆電話からとか誰かと思ったよ』
「ごめ、スマホ家に忘れちゃって。あのさ、聞きたいことがあるんだけど」

焦って言葉がすんなり喉から出てこない。記憶違いだ、私が何か勘違いしてるだけだと思う一方で、嫌な予感がする。
私だって、テニプリ読んでたのに。炎帝なんてテニプリ好きの友人からも聞いたことないのに。

『なーに』
「テニプリの跡部ってさ」
『ん?テニプリの何だって?』
「跡部。跡部景吾」

短い沈黙が落ちた。

『……アトベケイゴ?誰それ』

背筋に嫌な汗が流れた。

2014/08/09 21:05
[back]
[top]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -