総てを赦す愛情なんていずれ消えてしまうのだと知った。


私はそれにどんな感情を付与すれば良いのだろう?














きみと出逢ってから芽生えるものの多さに私は驚いているんです。ええ、本当に。なんて言えばいいのか…不快ではないんですそれは決して。でもね、初めてというのはなかなかどうして驚きと共に持て余してしまうもので、私はどうやってこの思いを統制すれば良いのか分からないんですよ。解らないんです。これは偏に私の経験不足という他ないんでしょうね。きみは何も悪くないんですよ勿論それは勿論。そもそも私の今までの遍歴経歴から考えて当然のことなんだろうと思いますええ。…所々で面倒くさがったというかその努力を怠った部分が無い訳では無いんですが、生まれが生まれではありますし、必要無かった点もあるんです。これについては一言現状から言ってどうしようもないことなので一先ず置いておきましょうかええ。私はね、

「私はねアリババくん」

きみに貰った…植え付けられたと言っても構わないかもしれない色んな感情をこの身に張り巡らせながら日々を生きているんですよ。文字通りにね。絡み付いて離れやしないコレの扱い方が分からないまま生きているんです。張り巡らせてなんてまるで血管のようで神経のようで生命に深く関わる源泉のようで痛みであり守るものであり時には見捨てる必要もありながら私が私であるために必要不可欠なものでもあります。これは、

「ねえこれはきみが、わたしに、与えたものなんです」

与えてくれたものなんですよ分かりますか?私にとってこの感情がどれ程どれ程どれ程身に深く浸透し根を下ろし絡み付き我が身を動き難くしけれど憎むことなど決して出来やしないなんてことが。分かりますか?ねえきみには。この重い想いの行き先はきみ以外には向かないんです。きみにだけ向いているんです。それを日々自覚しながらあらゆる症状に悩まされながら愛しくて愛しくて痛くて痛くて憎めず抑えられもせず毎日を繰り返していく私をきみは知らないでしょう?ねえ今私はきみに世間一般でいう愛の告白をしたんですが分かっていますか?気付きましたか?愛してるんですよきみのこと。好きなんです。自問自答を馬鹿みたいに重ねたけれど錯覚でも勘違いでもなくて病気でもなければ摩り替えですらなかった。どうしましょうか。ねえ私はどうすればいいと思いますか。恋は人を愚かにするのだと何処かで誰かから聞いたことがあるんですけど正にそうですね。ねえどうしましょうかアリババくん。私は、私はね、

「きみに私だけを見て欲しいと思うんですよ」

きみの全てが欲しい。愛してるから。恋してるから。愛しくて恋しくて恋愛とやらをしている私はきみに私だけを見て欲しい。…嗚呼ここだけを耳にすれば単純で明快なものですね。これだけで済むならきみももしかしたら首を縦に振ってくれたのかもしれない。きみはとてもとてもとても優しい子ですから。優しくて優しくて優しくていい子ですから。いい子のきみは私が傷付かないようにしてくれるのかもしれない。…でも、でもね、それだけで済まないから謝りたい衝動に私は駆られるんでしょうね。ええ。どうやら私の独占欲とやらは人一倍らしくて。これも悪癖というか元来の性根でしょうが私はこれでいて結構な激情家でもありますので何かしらの琴線に触れた場合自分の理性など追い付かない事態になるんです。これはどうしようもなくて我ながら困っているんですがやっぱりどうしようもなくて。こうなると手がつけられなくてそれこそ誰かに、悪くもない誰かに血を流させる結末に流れてしまうような気がしてしまって。今更好い人ぶる気はないんですが、アリババくんはそういう人は嫌いでしょう?私はきみに嫌われたくはないんです。ああ間違えないで欲しいんですが、きみが簡単に好き嫌いで人を差別化する人物だと言っている訳では無いですからね。そこは決して間違えないように。きみはいい子ですから。私と違って。…少し話が脱線してしまいましたが、まあつまり私が言いたいのは私がそうした激情に駆られて可笑しなことをしでかさないような確たる保険といいますか、策を弄することにした訳なんです。ええ策です。方法と言い換えても良いです。でもこれはきみ自身もそうですし周囲の方々も反対するでしょう。ですから、


「ですからきみの意見も周囲の意見も要りません」



…ごめんね、アリババくん。本当にごめんなさい。嗚呼嗚お願いですからそんなに泣かないで。泣かないで下さい。私はきみの涙にはとてもとても弱いので。ねえ泣かないで下さい。

愛していますよ、きみのこと。愛しています。愛しています。ねえ幸せにしますから。きっと幸せにしますから。愛しています、愛していますよ。



とても…とても、ね。














(私が微笑めば彼も笑う筈だった)




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志乃様、この度は50000打企画にご参加下さり誠にありがとうございました!

ジャファアリでアリババ君限定で独占欲やら嫉妬が凄くて、徐々にヤンデレ化していくジャーファルさんのお話…との事でしたが、いかがでしょうか?ジャーファルさんヤン、デレ?それに殆どヤンデレへの過程がなくて…本当申し訳ないです。そして消化が遅くて本当に本当にすみません!リクエストありがとうございました。すみません。苦情はいつでもどうぞ!(土下座)

それでは本当にありがとうございました!!


(針山うみこ)