もぞもぞと動く布の塊。
膨らんだそれからニュッと片手が伸びる。その手はバタバタと暴れており、まるで助けを求めているようだ。しかし室内には他の人の気配などなく、そうした行動の無意味さを表すかのようにシンとした空気があるばかり。


ややして空中で暴れていた手が力尽きたようにパタリと落ちる。その数瞬後にガバリと布が捲られた。その下から出てきたのは酸欠からか顔を赤く染めたアリババ…と、アリババの身体に腕を回すジャーファルであった。


「っ、もう!いい加減に離して下さいジャーファルさん!」

「せっかくの休みなんですからもう少し良いじゃないですか」

「あああもう昼なんですよ?!ジャーファルさんのせいで朝ごはん抜きでお腹空いたんです!」

「…なんですかそれ。アリババくんは相変わらず色気より食い気ですねぇ」


はぁ、という溜め息と共にジャーファルはアリババの首もとに唇を寄せた。ひッ、と短い悲鳴を漏らすアリババに構わず皮膚を吸い離れ、ジャーファルは赤く染まった部分を満足気に見やった。


「な、にするんですか…」

「したくなったもので」


混乱と怒りに震えるアリババにしれっとジャーファルはそう答える。そんなジャーファルの態度にアリババは口角をひくりと引き攣らせた。


「ジャーファルさんがそんなんだから俺は朝から腰を痛める羽目に…ッ」

「すみませんねぇ欲に忠実で」

「全くもってそうですね!」


幾ら休みだからってこんなのって無い。
むぐぐと唇を結ぶアリババを眺めながらジャーファルはするりと片手を下げ、アリババの後孔を撫でた。今度はぎゃっ!と潰れたような叫び声を上げてアリババは暴れだす。


「なななななななに、なにしてッ、」

「いえ、そういえばまだちゃんとナカ掻き出していなかったなぁと」

「……前々から思ってたんですけどジャーファルさんって結構むっつりですよね」

「だったらいけませんか?」

「そんな堂々としないで下さいよ」


好きな相手にむっつりで何がいけないのだと言うジャーファルに、アリババは真っ赤になりながらああ、うん、はい、そうですねと適当に相槌をうつ。結局のところ、いつだって最後にはジャーファルのペースに持ち込まれてしまうのだ。これは歳の差ゆえか、はたまたよく聞く惚れた弱みなのか…果たして。


がっくりと肩を落とすアリババの髪にジャーファルは自身の顔を埋め、楽しそうに笑った。


「すみませんアリババくん、あと五分だけこうさせて下さい」


五分経ったら後始末をしてご飯にしましょう。
そう零すジャーファルに仕方ないかとアリババは体の力を抜き、捲った布を再び二人に寄せる。そうして布の質感と互いの体温を感じながら、室内に響く時計の刻み音に耳を澄ました。












(なぜこうも、こうなのか)





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七瀬様、この度は50000打企画にご参加下さり誠にありがとうございました!

ジャファアリまたはカシアリで甘めでいちゃラブやエロ…との事でしたが、今回はジャファアリにさせて頂きました。いちゃラブ…?んん?そして現パロのようなそんな形になります。…こ、こんなので申し訳ないです。そして消化が遅くて本当に本当に申し訳ないですすみません。リクエストありがとうございました。すみません。苦情はいつでもどうぞ!(土下座)

それでは本当にありがとうございました!!


(針山うみこ)