(おまけ)









胸部に腹部、膝蓋に膝窩、腓腹に踵部。

身体の至る所を余すところなくその唇は辿った。一点に骨の髄まで焦がすような熱を灯しては、また別の場所へと移ろう唇。…そうして終わりの合図はいつだって決まっているのだ。全身を撫でた唇が戻るのはいつだって手背上皮。恭しく取られた手に落とされる口付けはいっそ何かの誓いのようで。始まりと終わりを知る手背に起こされた感覚器が、どうしようもなく目の前の男を欲するのだ。


視神経円板に結ばれるより盲目的に、黄斑に結ばれるより鮮明に。アリババにとって恋する瞳も心臓も、結局は目の前の相手に捧ぐ愛でしかなかった。














「んッ、ひ…ィ、ぁ」


体内で脈打つ熱に意識が持って行かれそうになる。痛いほどに逸る心音で埋め尽くされ、余計な音は聞こえない。そうして柔らかな粘膜同士がすり合わされていき、普段は欠片も見えない奥底に眠る性感が引きずり出されていく。


「はッ、あ…っ、ぁ、ぁ、」


ずりずりと体内を犯される感覚にアリババは切なげに啼く。相手の呼吸が重なり、繋がった部分はもはや溶けて一緒になってしまっているのではないか…そう錯覚してしまう程の熱が身の内で暴れている。どうにも発散出来ないその熱はやがて精神さえも喰い尽くし、ただこの時を少しでも長引かせ印そうと健気に身を揺さぶってくる。淫らに雄を飲み込む濡れそぼった後孔はひたすらに快楽を貪り、より高みへと昇るために繊細に蠢いては相手を締め付ける。相手…シンドバッドもまた、淫蕩に歪んだ思考を律することなく自身の性器を好きにアリババの中に突き立てていく。熱く熟れた後孔の壁は赤く染まり、シンドバッドの動きに合わせて前後してはシンドバッドの性器に絡み付く。煽動する内壁は堪らなくシンドバッドを追い上げ、同時にアリババ自身にも快楽の電流を流した。


「ぁ、も、…ぁッ、ひ…ィぁあッ!!」
「アリババくん……ッは、」


全身を痙攣させたアリババの喘ぎが部屋の空気を震わせた。またそれと同時にシンドバッドも眉間に深く皺を刻み、共に果てたことを示した。


「…アリババくん」


浅く速い呼吸を繰り返す少年の頬を一度撫でてから、シンドバッドはアリババの左手をゆっくり取った。そして手背を指の腹で愛おしげになぞり、それから静かにそこに唇を落とした。


何が言いたいのかなんてそんな、





















(ただ君を構成する総てを愛しているだけ)




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はい!お粗末様でした!!