Between you and me, | ナノ

ナイト、初恋はもちろん……




 オレは今でも、おかあさんが一番好きだ。強くて、優しくて、頭も良くて……何より美人なんだ。髪の毛はふあふあで柔らかい。ほっぺを抓ると、「もう!」と言いながらオレを抱きしめてくれる。

 何より、オレの良く知ってる異性は2人しかいない。

 おかあさんかカイト。

 この2人を比べたら、モチロンおかあさんを取るに決まってる!

「おかあさん、どうやったらオレ結婚できるの?」
「え、結婚? え、ナイト、どうしたの?」
「人を好きになったら結婚するんだろ?」
「そうかなあ……。本当に好きでも結婚できないことだってあるのよ」

 大きな溜息。「どうして?」オレが問いかけると、おかあさんは力なく笑った。

「女の子を好きになっちゃったら、無理だから」
「……れず?」
「ナイト、何処で覚えたの?」
「前、ジンさんが言ってた! 女同士がレズで男同士がホモだって」
「あとでシバく」

 ………………こ、怖い!

「あの人、育児放棄するわ、人の子に変な事吹き込むわ。サイアク」
「放棄……子ども育てないってこと?」
「そう」
「親父も同じじゃん」
「え?」
「オレだってホーキされてるじゃん。一度も会ったことないし」

 生まれてきて、一度として父親と居る記憶がない。おかあさんは、小さい頃に会ってると言ってたけど、それはウソだと思う。写真だって、一枚もない。

「今度、パパのお話してあげる。パパがどれだけすごくて、どれだけナイトを愛していて、会いたがってるか」
「本当?」
「うん、本当。あの人は、ナイトもわたしもちゃんと愛しているの。ただ、忙しいだけ。仕事を優先するパパは嫌い?」
「……おかあさんはすきなの?」

 おかあさんは、笑った。息が止まるかと思った。すごく、綺麗に笑って「だあいすき」と言ったんだ。少し、イライラする。

「ナイトはとってもパパに似てるの。でもパパよりもイケメン! あの人は疲れている時、とっても老けるから。それに目つきも悪いし。ナイトはわたしの自慢なの。パパと結婚できたことより、ナイトがいてくれてることの方が幸せよ」

 数秒前のイライラなんて吹き飛んだ。

「オレもおかあさんがいてくれて幸せだ」

 そう告げて、なんだか恥ずかしくなって、そっぽを向く。ぐずぐずと鼻を啜る音が聞こえて慌てて振り返った。「お、おかあさん!」「やだー。年だー。すぐ泣けてくるー」と声を上げて泣いたり、笑ったりするおかあさんがオレは本当にだいすきだよ。





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