Between you and me, | ナノ

ナイト12歳、夢を持つ



 オレの名前はナイト。12歳。
 いつもはおかあさんと、ねえちゃんと、森の中にある屋敷でひっそり暮らしてる。

 親父はどうやらおかあさんを置いて、契約ハンターという仕事をしてるらしい。おかあさんはそれはもう偉大なハンターで、シングルハンターなんだ! それってすっごいことらしい。メディカルハンターで専門は医学・薬学。たまにオレを置いてハンター協会に行くけど、基本的にはこの屋敷で仕事をする。綺麗で優しくて(怒るとすっげえ怖いけど!)オレの自慢のおかあさんだ。

 ねえちゃんはカイトっていう、しっぽの生えたキザな野郎だ。たまに言動から女を疑うこともある。年も離れてるせいか、あまり話すことはない。第一、オレはカイトが嫌いだ。しっぽが生えてるから、とか、血が繋がってないから、とかそれ以前に、オレのかあちゃんをやたらドクセンする(ドクセンっていうのは、独り占めってことだ)。

 まず、おかあさんを「ナマエ」って呼ぶ。オレだって呼びたい。ちょっと前まではママだったけど、そろそろヤバイと思って止めた。オレも大きくなったってことだ! 「おふくろ」って呼ぶには、おかあさんは若すぎる。それくらい綺麗で自慢の……じゃなかった、ドクセンの話だった。

 女同士なのに、たまにき、き、キスをしてる。オレだって昔は! ……恥ずかしいだろ、言わせんなよな。

……これも全てカイトが悪いんだ。それにオレ達を置いていった親父が一番悪いに決まってる。


「おかあさん、親父はハンターなんだろ」
「……そ、そうだけど。どうしたの、ナイト?」

 カイトと2人で楽しそうに話してるのがムカついて、質問した。慌てて振り返るおかあさん。カイトは俯いてオレを見ようとしない。……カイトもオレのことがすっげえ嫌いなことはわかってる。

「オレもハンターになりたい」
「駄目」
「駄目だ」

……カイトまで入って来るなよ。黙ってろよ。「何で? オレ、ハンターになって親父に会いに行くよ」そう言って、おかあさんを見る。

「待って、その展開はわたし知ってるの。駄目なやつなの」
「は?」
「そういって、ろくでもない父親に会う為に生死を彷徨った男の子がいるの!」
「オレはそうはならない!!!」

 声あげたら、おかあさんはびっくりしてた。普段、こんなこと言わないもん……オレ。それを聞いていたカイトが「お前には会えない」とか言ってきた。腹立つ。関係ないだろ、お前は。

「ナマエに守ってもらってるようなヤツが会える訳がない」
「んだと!!!」
「カイト、ナイト、やめて。わたしの前でケンカしたらただじゃおかないから。カイトもナイトもとっても大切な家族なの。わかってるでしょ、カイト」
「…………ああ」

 カイトは黙り込んで、また俯いた。よくはわからないが、カイトはおかあさんにメッポウ弱い。とにかく弱い。特に親父の話になるといつもこうだった。

 おかあさんもカイトも納得はしてないみたいだけど、オレのハンターになる夢ははじまったばかりなんだ!





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