dear.sanosuke


CLAP THANKS
お礼小説 // 左之さん





原田さん達、千鶴が新選組を離れて何日経っただろうか。…私が心を殺して、何日経っただろうか。


刺された気がして、自分の左胸を見ると、刀の先が出ていた。血が滲んでいた。ああ、鬼である私も、ここで死んじゃうのか。

痛いなあ、そう思って空を見上げたら、思いの外空は青かった。
空っぽの頭に最初に浮かんだのは、原田さんだった。

原田さん達は私や千鶴が鬼だと知った後も、変わらず接してくれた。
原田さん達と笑った日々が、記憶が、私の全てだった。何を思いだそうとしても、原田さんしか出てこない。

「…は…ら……だ、さ」
これだけは言える。
貴方を、愛してよかった。

「………あ、り…が………」
涙が滲む。声が出ない。

目も霞んできた。涙が頬を伝った。


…この出来事が、全部夢ならよかったのに。


「ーーーーー!ーーーーー!」

懐かしい声を聞いた気がした。

……もう、寝かせておくれ。眠いんだ。

瞼を閉じる前に、懐かしい姿を見た気がした。

雫が落ちた感覚がした。それが誰のものか、私にはわからなかった。




Dear.Sanosuke