青の怪獣は砂糖菓子



「蜻蛉って化け物だったのね!」

そういって頬をぶたれた事が何度もあった。あの女、正にドS!と普段なら笑っているところであるが、この女ー名前の場合は全く笑えなかった。

「知ってたよ。蜻蛉が妖怪ー化け物だっていうのも、蜻蛉が必死に隠してた、っていうのも」

にこ、とそれは綺麗に笑ったのだ。今回は前世の記憶があるが、名前は前世には無かったイレギュラーな存在だ。名前がどんな影響を自分にもたらすのか、はたまた凛々蝶に影響をもたらすのか、とにかく、気にかけていた女だった。

「私は普通の人間だよ…ーちょっと、蜻蛉の事を調べただけ」

何故か、名前が怖く見えた。こいつにはすべてを見透かされる、そんな気がして背筋になにかが走った。

「でも、何も言わない。蜻蛉が何をしていたのか、蜻蛉がこれから何をしようとしているのか。」

人差し指を唇に当てて笑う姿は誰よりも美しくて。さっきとは違う何かが走る。ああ、これはきっと。

「蜻蛉甘過ぎ。砂糖菓子みたいに甘いよ。」

耳をかぷり、と噛まれた私はただ腰を抜かして名前を見上げるしかできなかった。


青の怪獣は砂糖菓子
(つい、食べたくなりそうよね)

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