新選組に雇われましょう (5/5)


しん、と空気が冷える。神妙な顔つきでポニーテールお兄さんが原田さんに聞いた。

「原田、会ったことがあるのか」

「あぁ……1度だけな、助けた。八代さんとこで働いてる」

子供を助けようとしてたんでな。
こくり、と自分が頷くと髷の人が八代さんだと!?と叫んで立ち上がった。八代さんすごい。

「それは失礼した!霰くん、俺は近藤勇だ、こっちがトシ、土方歳三で……」

「近藤さん!」

土方さん?が声をあげて近藤さん?を止めた。というか八代さん何者?

「あー………八代さんとこのもんじゃあ仕方ねぇ」

あの人には世話んなってるからな、と土方さんが呟く。
八代さんはこの辺では珍しい新選組を応援している人だ。明るく優しいが、怒らせると、本当に怖い。帰りたくない……!

「……よし、お前料理は出来るか」

「……出来ますけれど」

「味なら俺が保障するぜ、雲居の飯食ってから身体の調子がいいんだ」

原田さんが自分の頭をぽんと叩いて笑う。

土方さんは、八代さんのとこのもんなら殺せない。だが野放しにしては危険である。だから新選組で雇う、という案を出した。

「構いません、刀も使えますし、彼女の盾になります」

す、と八代さんからもらった刀を渡される。これをとればもう引き返せない、土方さんはそう言った。他の方も静かに見守っている。

「必ず、役に立ちましょう」

自分は刀を受け取った。



「やったぜ!くぅっ、これから旨い飯が食えると思うと………!雲居、よろしくな!」

俺は永倉新八だ!とがっちりと握手をしてくる永倉組長。やっぱり雇われるのだからきちんと呼ばないとなぁ。

「八代さんのところで働いていたとは……期待しておきましょう、私は山南敬助です」

「山南総長、よろしくお願いいたします」

「私は井上源三郎、雲居くん、良かったらなんでも聞いてくれるかい?」

「井上組長、よろしくお願いいたします」

「良かったね、斬られなくて。僕は沖田総司、料理はあまり期待してないよ。霰くん」

「沖田組長、よろしくお願いいたします。美味しいって言わせてみせますよ」

へぇ?と意地悪く笑う沖田組長。見返してやらねば!

「…先程は失礼した。俺は斉藤一だ。左之がああ言うほどだ、料理楽しみにしておく」

「斉藤組長、よろしくお願いいたします。過度な期待はしないほうがいいですよ」

「お前八代さんとこで働いてたんだろー?楽しみだな!俺は藤堂平助!なんでも聞いてくれよな!霰って呼んでもいいか?」

「藤堂組長、ありがとうございます。構いませんよ」

「ったく……さっきも言ったが俺は土方歳三だ。」

「土方副長、よろしくお願いいたします。」

挨拶をし終えて、一息つくと頭に手がのせられる。原田さんだ。

「これからよろしくな、雲居」

「はい!」

これからここでどんな生活が始まるのだろうか。




四、新選組に雇われましょう
(…でもとりあえず包丁取りに帰りたい、かも)




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