一石二鳥なわけがなかった (3/5)


いつのまにやら、自分は文久3年にタイムスリップしていました!やったね!
…なんて、現実を受け止めることが出来たら良かったのだけれど。

「(そないなこと出来へん!)」

往来を歩く着物を着た人たちを見て落胆した。
ちなみに年号は立て札を見た。どうやら幕末らしい。
はあ、とため息をついて座り込む。いつのまにやら着物を着ているし(しかし何故袴をはいているのか)……
本当に、どうしてこうなった。

さっきまで自分は仕事が休みで、久し振りに京都に帰ってきていた。外に出ようと扉を開けたらそこは幕末の京都でしたー………笑えない。まったくもって笑えない冗談である。

「(玄田に貰った包丁があるのも不思議やしな)」

そうだ。何故か、料理の師であった玄田から貰った包丁一式が傍らにあったのだ。
玄田から貰った包丁の桐箱を一撫でし、周りを見る。
周りはちらちらと雪が降っていた。

「なんで包丁があって羽織があらへんのや…」

寒、と体を縮こまらせたとたんに、人の影が落ちた。

「あんさん、行くとこないんか?」

自分には天からの声だった。声を掛けた男は八代というらしい。自分ー雲居霰は縁あって、八代の小料理屋にお世話になることになったのである。





「新選組、なぁ……」

往来の噂では、悪名しか聞かなかったものだが。

「あんな……色男もいはるんやね…」

後ろから八代が霰、恋か!?と叫んでいるが、スルーしておこう。
散歩行きますーと羽織を着て左に二本、刀を差す。これは八代に渡されたものだ。




「あ?」

夜も更け、細い路地を通って八代の家に帰ろうとしたときだった。
男の悲鳴が聞こえ、そちらに向かっていく。


そこで私が見たのは惨劇だった。
血だらけになった人とは呼べそうにないものたち。血だまりに倒れている人と判別のつかないもの。
狂っている、そう思った。
かたり、そう音が鳴った方向を見ると、1人の子がガタガタと震えていた。

屋根を登って、その子の前に降りる。安心して、そう言って笑って目の前の狂ったものの刃を受け止める。

「チッ!」

一歩後ろに引いて突きの構え。

「殺生は嫌いなんやけどなあ!」

心臓を一突きする。ずるり、と力をなくしたもの。
その後ろから、新たなものがやってくる。




ガキン!一際大きな音を立て、相手の刀を受け止める。…人のようだ。と、いうか。浅葱色………?!

「ああ、残念だなぁ。僕1人で始末しちゃうつもりだったのに」

後ろからまた人が出てくる。また浅葱色だ。浅葱色の羽織って……………新選組、ですよね。

「斎藤くん、こんな時に限って仕事が早いよね。………まぁ、そこの人が、全部斬っちゃってるみたいだけど。」

「俺は務めを果たすべく動いたまでだ。」

斎藤くん、と呼ばれた人は刀を下ろした。

「そこのお前ら、いいか、逃げるなよ。背を向ければ斬る」

黒髪ポニーテールのお兄さん………綺麗な顔でそんな怖いことを言うのはやめてほしいなあ。

ああ、なんだか大変なことに巻き込まれたらしいです。八代さん。





二、一石二鳥なわけがなかった
(あーもうどうにでもなれ)

京言葉おかしかったらすみません……!
名前変換も出せずすみません…!
京言葉難しすぎます!( ;∀;)





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