君が幸せの条件



最初は、怖かった。
当たり前のように人を切り、当たり前のように人が死んでゆく世界。初めて人を切った後に自分の手を見ると真っ赤に染まって見えて、赤くなるまで擦り続けた夜。
そんな私を、貴方は見つけてくれた。

「そんなに赤くなるまで擦るんじゃねぇよ」

私の手を掴んで止めた、左之さんの手は凄く暖かかった。何かから守るように抱き締めてくれた左之さんを、私は今でも忘れられない。
怖い、助けて、と繰り返しながら泣く私を、なにも言わずただ頭を撫でてくれた左之さんの優しさには、感謝しきれない。
ねぇ、私は何度貴方に助けられたのかな。

「何も恩返しできてないね」

困ったように笑う私に、額を小突いて笑う左之さん。

「馬ー鹿、名前には充分恩返しされてるさ」

名前はそこにいるだけで、充分なんだよ。って笑って頭を撫でる左之さんが、とても綺麗だった。

「壬生浪士組でよかった。ありがとう。」
って私が笑ったら、左之さんは、
「俺も名前がいてくれてよかった。」
と笑った。


この日、壬生浪士組は、会津藩預りとなった。
そして、後に新選組という名を拝命することとなる。



君が幸せの条件
(私は、貴方がいるならなんだっていい)



title.誰そ彼


今日は新選組の日だそうです。まだまだ未熟者ではありますが、新選組、薄桜鬼が好きなので今年一年も頑張らせていただきます。宜しくお願い致します。

そば

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