二人並んでいびつなハンバーグ、いっぱい作ろう

彼がオーストラリアから帰ってきて時がたった。遥くんや真琴くんたちとのしがらみも取れた凛くんはなんだかとても嬉しそうで。凛くんの楽しそうな、嬉しそうな笑顔を見るたびにわたしも嬉しくなってしまう。

さてさて、今日はその凛くんの誕生日だ。プレゼントは一応購入したし、わたしの家でささやかにお祝いすることになっている。彼の家ではないのは、凛くんが寮で生活をしているから。ささやかに、というのは遥くんや真琴くんたちをよばず、二人っきりで過ごしたいという可愛らしい凛くんの願いだったからである。幸いなことに母さんは知ってか知らずか今日は家を開けている。

のは、いいのだが。

「……はぁ、やっぱりやらなきゃ、いけないよね……」

わたしはここで、最大の難関にぶち当たったのである。その最大の難関というのは『料理』のことだ。もちろんケーキは買っている。だが、母さんがほとんど料理をやってくれているため、どうしても料理だけは出来ないのだ。
うう、と悩んでいると、凛くんから電話が入った。

「もしもし名前、練習終わった。今から行く」

「えっ、もう?!」

や、やばいっ、そんな時間か!そう思っていると俺が行ったらやばいのか、と凛くんがつぶやいた。

「い、いや大丈夫!うん!」

「そーか。必要なものとかないか?」

「大丈夫!」

や、やばいぞ。急いで作らねば!
電話を切って、パソコンでインターネットを開く。『ハンバーグ 作り方』と検索をかけると、沢山のものが出てきた。そのなかから簡単そうなものを選んでいく。

……そうしていると、時間はあっという間に過ぎてしまっていた。ピンポーンとインターホンがなった瞬間びくぅっとしてしまった。
ちなみに、玉ねぎを必死にみじん切り?にしている最中。とても間が悪い。

「おい、名前、……大丈夫か?」

「凛くん、間が悪い!よ!」

「これ、みじん切りってより角切りじゃあ」

「わぁあっ!す、座っててよ!」

は、恥ずかしい!!!やめて凛くんわたしを見ないでー!!!
凛くんが包丁貸せ、とわたしの手から包丁をひったくると、手際よく玉ねぎをみじん切りにしていく。

「凛くん料理できるの?!?」

「バーカ、一人で留学してただろうが」

……そ、そうだった。
うう、凛くんは料理上手いし英語上手だし……

「……勝てる要素ないなぁ」

「馬鹿、お前には負けっぱなしだよ」

「??凛くんに勝てるのなんて……お風呂きれいに洗うことぐらいのような……」

「……それより、言うことがあるんじゃねーの?」

「あ!!!ごめんね、お誕生日おめでとう、凛くん」

「おお、」

そうして、二人でハンバーグを作っていった(ほとんど凛くんです!)形が上手く整わなくて、いびつな形になってしまったハンバーグを見て、二人して笑った。
来年も、その先もずっと、こんな風に誕生日をお祝いしたいな。


二人並んでいびつなハンバーグ、いっぱい作ろう


Title.誰そ彼


凛ちゃんお誕生日おめでとう!!!!!!!!
My sweetie,いい年を過ごしてください。


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