ずるいなあ、本当
「あーいー…………眠いよー…………名前ちゃん死んじゃうよぅー」
「うるさい、黙って手を動かして」
大体名前が手伝いを申し出たんでしょ、ととりつく島もない藍は只今編曲作業中であり、わたしは資料の整理中である。藍の部屋(…スタジオ?)には何度も手伝いに来ているものの、未だに慣れないことばかりだ。
「……これマネージャーの仕事じゃないよねっ?!」
「名前が要領悪いからこうなるんだよ?やっぱり8ビットだよね、君って。むしろそれ以下?外付けハードディスク買って繋げなよ、ましになるんじゃない?」
専門用語並べんなっ!分からないって知ってるくせに!あとわたしはパソコンじゃない!と藍の背中にいーっとしてやると、藍が機嫌が悪そうに振り返った。
「ぐだぐだ言ってないでそこの資料まとめて。……ああ、それをデータ化しておいて」
「まだやるんかいっ……」
「…………なにか言った?」
そういってわたしの顎を掴んだ藍の後ろには、大魔王が見えました。心なしか顎がギリギリいってるし。生意気言ってすみません。あれ、でも藍ってわたしよりかなり年下じゃ………
「っておい!!藍近い!」
顔を上げるとかなり近くに藍の顔があった。うわぁ、綺麗な顔。羨ましいかぎりだよお姉さん。
「なにそれ、人が心配してあげたっていうのに」
全くどうしてこんな人をマネージャーに選んだんだろう…と藍が呟く。おい、聞こえてるぞー。
「学習しないし、うるさいし、要領足りてないし、ボクにメリットなんて全くない」
「おいこら」
酷い言いようだな藍さん。いや、わたしの日頃の行いが悪いのか。
「………でも、嫌いじゃないよ、名前のこと」
「藍………!」
デレた!藍がデレたよ!と叫んでいたら真っ赤な顔の藍にうるさいって怒られた。残念だけど、説得力ないよん!
ずるいなあ、本当
(藍、いつになったら顎の手を外してくれるの?)
(はずさなきゃいけないの?)
(くっ、この小悪魔め!)
Title.誰そ彼
藍ちゃん可愛いよ藍ちゃん!