傘をひろげて溢れだす秘密の星くず 今日は雨だ。ぽつぽつ、ザアザアとだんだんと本降りになっていく。雨の日は髪の毛が乱れるから嫌だ。登校してくる色とりどりの傘、たまに走っている生徒を見かける。まるで遠くから見ると夜空に輝く星みたいだ、と思った。 その中に目立つ小さな赤。誰だろうと覗き込むと逆之上くんだ。珍しい、彼がこんなに早く来るなんて。 急いで降りて、靴箱で逆之上くんを待つ。わたしの手にはタオルがある。 「逆之上くん、」 ちょっと顔を出して逆之上くんを呼んでみる。彼は一瞬びくっとしてこちらにずんずん歩いてくる。 「………ナマエかよッ」 「うん、ナマエ。」 何持ってんだ、とタオルを指差されたので、タオルを頭に被せて乱暴に拭いてやった。いてェ、とされるがままになっている逆之上くんは珍しい。 「こんなに早く来るなんて、珍しいね?」 「カイトとパズルで勝負する約束だったんだよ!」 「へぇ、そのカイトくんはいないけどねぇ」 「うるせェ!」 たく、とかがんでいた逆之上くんは立ち上がり、ずんずんと歩いていった。おそらくカイトくんを探しに行くんだろう。 「タオル、洗って返してねー」 そう叫ぶとおう、と逆之上くんは手を降って返事をした。 さて、今日は一日雨が降るだろう。おそらく帰る時も大雨だ。私はいつも鞄に入っている折り畳み傘を思い出した。逆之上くんに1つ恩を売っておこう。それで、名前を呼ばせてもらおう。 自分の計画ににんまりとし、私は階段を上がっていった。……そのあと、とても嬉しい誤算があったのだけれど、これは秘密にしておこうと思う。 「…………ギャモン、くん」 さて、名前を呼ぶ練習でもしておこう。 天才ギャモンくんでした! 完全に偽物ですね申し訳ないです……( ;∀;) (4/4) |