ああほら両手からスキがこぼれていくよ、もう

スキ、という言葉を考えてみた。スキ、スキ、と連呼している私は傍からみれば変人だと思うが、今は自分の部屋でのんびりとしていた。(一応これでもポケモン協会幹部であるが。)

「チュリネー『スキ』ってなんだと思う?」

ちゅり?と理解しているのか理解していないのか分からない反応が返ってきたが、チュリネは今日もかわいい。
よくわからないけど元気出して、といった感じですりすりと頭を寄せるチュリネが愛しい。スキだ。

「『スキ』ってこういうことなのかねぇ?」

愛しい、かわいい、撫でたい、そう思うことなのかなぁ。
チュリネを撫でて考えているとボールからチルットが出てきて私の頭に止まった。まぁいつものことなので気にしない。

「チルットはどう?」

ちる?とこちらも分からないようでしきりに首をかしげている。かわいい。

「うーん、とりあえずチュリネとチルットは『スキ』だなぁ」

にこにこと笑っていると不意にドアが開いた。ワタルだった。チルットがワタルに向かって飛んでいく。ああ、一応親はワタルだものね。

「ナマエ、会議が始まるぞ………ナマエ?」

じい、とワタルの赤い髪を見つめる。ドラゴン使いらしく、かっこいい髪型だ。……じっと見つめていると、可愛くも見えてきた。う、触りたい……!

「ワタル、触らせて!」

「……はあ?」

髪、触らせて!と繰り返すと、かがんでくれた。ワタルが珍しく優しい。いつもは早く行け!と怒鳴るのに。

「ワタルの髪、ふわふわだねぇ」

「……そうかい」

「わたし、ワタル『スキ』よ!」

「……………はぁっ?!」

ワタルが逃げた。せっかくいいところだったのに。……あれ、わたしもしかして不味いこと言ったかな?

「ワタルの髪、『スキ』よ!」

「…ああ、そうだな…そうだろうと思ったよ…」

ワタルはちょっと悲しそうな顔をしてしまった。あわわっ、どうしよう!えーと、えーと!


ちゅっ

「………………えっ?」

「あっ…ワタル、嫌だったらごめんなさい!先に会議に行ってるね!」

いくら『スキ』だからって、な、なんで頬に『キス』しちゃったんだろう………!
恥ずかしい!

その時自分のことで頭がいっぱいだったわたしは、ワタルが真っ赤な顔をして惚けていたなんて、知るよしもなかった。




ドラゴン使い、ワタルさんでした(*´∇`*)

(3/4)

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