せかいはうつくしい



「ナマエ、島が見えたぞ!」

キッチンに駆け込んできたお頭は息を切らしながらにっこりと笑った。その笑顔にほんわりとしつつ、さいですかと答えるとお頭からブーブーと文句が飛んできた。

「海を渡ってたらいつかは島に着きますって」

私がそう言うとそれはそうだけどよう、と口を尖らせながら私に同意した。かわいい。

「ナマエはよー新しい土地にこう、ワクワクとかしないのか!?この島にはどんな食材があるんだろう〜とか!」

「お頭それ私の真似ですか?」

似てません。そうばっさりと切り捨てた私は内心でにっこり笑っている。お頭いじるの楽しい。
案の定ずううんとお頭はしょげていた。

「お頭これあげますから元気出してくださいよ」

そう言って手渡したのはお酒を使ったデザート。酒好きなお頭なら喜ぶだろう。やっぱり、笑顔になった。

「うめー!」

こうもいい笑顔を見るとやはりこの人についてきて良かったなと思う。

最初誘われたときは、正直無理だった。海賊は怖い人たちばかりだ、と勝手に決めつけていた。
でもお頭は粘り強く私を乗せたいと言った。おれが世界を見せてやる、おまえがここにいるのはもったいない、そう何回も繰り返した。

「???何でおれのほうを見てんだ?」

「お頭についてきて良かったなーと思ってただけですよ」

そうか!良かったか!と心から嬉しそうに笑うお頭に、ちょっとキュンとしてしまったのは、不可抗力だと思う。

「…私、お頭の赤髪好きですよ」

へらり、と笑ってお頭を見つめるとお頭はスプーンを落としかけた。………お頭、なんで顔赤いの?

「……あのなぁ」

不意打ちはやめろ!と私の頭をぐしゃぐしゃにする。かっ顔が見えない!

「もしかしてお頭照れたんですか?」
ちらっと見えた耳が真っ赤なのは間違いじゃないよね?










かわいいおっさん、シャンクスでした。

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