日々樹渉
短編整理してたら出てきた(2回目)
せっかくなので公開。山なし落ちなし意味なしのトリプルコンボ。
追憶が始まる前にテンションが上がって書いたものです。矛盾には突っ込まない。
執筆 2016.08.28
既刊anst公式小説の2巻の書き下ろしのネタバレがありますのでご注意ください。
過去イベ楽しみですね!!好み過ぎて無理でした。
英智の従者設定。
神様は私を迎えに来てはくれない
空を飛んでみたい。
そう何気なく零したのは私だった。
お安い御用です……☆
彼はそう答えた。
……彼は私の神様みたいなヒトだった。
「神様を信じている、かい?」
僕が信じてると思う?ねえ、#名前#。
私の主人、英智様はそう言った。
失礼致しました。一礼して、私に出来る作業を進めていく。敬人様に触れないように言われている部分は避け、英智様に書類を渡していく。
「まあ、でもね。神様みたいなヒト、はいたかな」
英智様は遠くを見ながらそんな事を呟いた。
私は目を伏せて、2年だった頃の事を思い出す。
英智様が、革命を起こした時。私は傍にいる事は出来なかった。
舞台裏に行った時には、英智様は倒れ日々樹様に抱えられていた所だった。
私がぼろぼろと泣き崩れ必死に声をかけている時、日々樹様はその様子を冷めた目で見ていた。
あの時のfineは、誰ひとりとして手を出さなかったのだ。
「僕は今でも……そうだね」
#名前#はそういう人はいるの?と英智様が聞くのでいますよ、と答えた。
日々樹様は、私の神様だった。
1度だけ、学園内で迷ってしまったことがある。
今でこそプロデュース科の人間として出入りが出来、道や部屋も覚えたが、その頃はまだ何もわからない状態で英智様に会おうとしていたのだ。
キョロキョロとしている私を見て、日々樹様は私に薔薇を差し出し、地図に変えて見せた。
「誰かに会いに来たのですか?いえ、答えは不要です……☆愛があれば全て解決しますからね!フハハ!!」
「あ、ありがとうございます……!とても困っていたのです、本当に助かりました……!」
「いえいえ、普段ならこんなことはしないのですが!あなたに興味を持ってしまいましたので!」
「……そうなのですか?ありがとうございます……でしょうか。あっ、素敵なマジック、ありがとうございます。私は先を急ぎますので……!」
このお礼は必ず、と彼を振り返ると、日々樹様はもういなかった。風のような人だ。
この時は、また会えるとは思っていなかったのである。
数日後、鞄を持った私の目の前に現われたのは日々樹様だった。神出鬼没なお方だ。
彼はなんとも、驚くべき発言をした。
「貴方を連れ去りに来ました……☆」
ぽかん、と私が惚けたのも無理はないと思う。
フフフ、驚いていますね、驚いているでしょう!と叫び、私をどこかへ連れていこうとする。
「きゃ、ま、待ってください……!」
「フフフ、待ちませんよ!さあ、さあ!」
……連れてこられたのは屋上だった。この際鍵がどうのこうのとかは気にしないでおこうと思う。日々樹様はくるりと回転し、どこからか気球を持ってきた。
「さあ!いらっしゃい!」
かごの中から声をかけられ、私は思うままに付いていく。
ふわり、と気球が浮かび上がった。
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