「…………」

「「「「…………」」」」




「…っ、いい加減になさい貴方達っ!!」


「そっ、そんなリリー!これは護衛なんだよ!?」



変身術の授業に向かう途中で、我慢ならない、とリリー・エヴァンスは怒りを爆発させた。彼女に2m間隔でピッタリ張り付いているジェームズ・ポッター、少し離れた所からシリウス・ブラックとリーマス・ルーピン、ピーター・ペティグリューが後を着いてきた。朝からずっとストーカーまがいの行為に苛ついていたリリーは、さすがに彼等が最後の授業までこのままのつもりだと悟ると怒りの形相で振り返った。そんなリリーを宥めるジェームズ。


「貴方達に守ってもらう理由はこれっぽっちもないわ!」


「じゃ、じゃあ昨日のアレは何なんだよ!?」

「関係ないわ!去りなさい!」


「エヴァンス、それはジェームズが撃沈するよ」


「ルーピン…貴方も監督生ならこんな大人気ない行動は止めさせて」

「でもねエヴァンス…昨日の件は見逃せないな…、君はグリフィンドールの仲間、皆は心配してるんだよ?」


リーマスの言葉にブンブン首を振る眼鏡。そんな4人にちょっと困ったようにリリーは赤い髪を掻き上げた。


「心配、してくれる事は嬉しいわ…でも本当に大丈夫なのよ、彼女は……」


ハッと4人が顔を見合わせる。リリーも慌てて両手で口を押さえるがもう遅かった。頭の良い3人(とピーター)はすぐにこの意味を理解した。


「昨日の吸血鬼は、女なんだね!?」


「…………」


「黙ってたって変わんないぞ?」


ジェームズとシリウスがたたみかける。リリーはしまった、と顔を歪ませるが答えようとはしなかった。


「リリー…グリフィンドール寮にいる女の子だね?」


リーマスが更に付け加える。サッと顔を青くさせた彼女はそのまま走り去っていった。


「ちょっ、リリぃいぃいぃーっ!!」


「あ、あーあ、行っちまったな…」


がっくりとくしゃくしゃの頭をたれるジェームズをチラリとみたリーマスははあ、と溜め息をついた。本当に、この男は主席なのか?


「でもまあ、これで同じ寮の女の子を調べればいいね」

「なんで、そんな事分かるんだ?エヴァンスはグリフィンドールの奴だなんて言ってねーぞ?」


「同じ寮の女の子だからこそ、心配しなくていいんじゃないか」

「!よ、よし、とりあえず夕食の時にもう1回聞こう」


リリーに近づく理由ができ、スキップしながら喜ぶジェームズを見て、この事件はあんまり重大ではないのでは?と思ったシリウス達であった。
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