6年前――
「シリウス、このお方はクランのお嬢様の 様です」
仲良くしなさいよ、と大嫌いな母親が紹介したのは、同じ黒髪だが、瞳は白に近い銀色の少女だった。英国人とは違う顔立ち、アジア人だと理解した。彼女は小さいながらスラスラと流暢にクイーン・イングリッシュを話しだした。
「こんにちは、シリウスさん、私の名前は です」
あれ、名前が出てこない……何故だ?あんなに遊んだじゃないか。でも途中から記憶がない。ホグワーツに入学する少し前がすっぽり消えている。記憶が曖昧だから定かではないが。
「シリウスって、星の名前ですわよね?」
「……そんな言い方しか出来ないのか?」
「えっ…?普通って事?さっきの話し方は嫌いだったかーまあ私もギクシャクしちゃうんだよねー」
「(早っ)…そっちの方がずっといい!」
嗚呼、やっと親の目が離れて初めて2人で喋った時だ…。同じ年なのにやけに大人びた話し方が苛ついて指摘した途端に、ものすごくくだけた口調になった時はびっくりした。
「そんな… は なのか?」
「黙っててごめんなさい…でも!「悪い、でもちょっと「もういい」…え?」
「 と は別なんだよ」
プチッ――――
あ、れ…ここから記憶が急に薄れてる。何故なんだろうか…。君は、誰なんだ?
「 って呼んでね!」
俺、シリウス・ブラックは生々しい夢から目が覚めた。さっきの夢は、俺と誰かの子供の時の話だ。まだ空は明るくなっていない。仕方なく再び布団に潜りこみ無理やり瞳を閉じた。瞼に写るのは、銀目の女の子…。
ねえ、覚えてないの、シリウス………?
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