シリウスはアリアに逃げられた後、真っ直ぐスリザリン寮の入口まできた。怪訝そうな顔付きの者、トキメキを隠せない者、あからさまに敵意丸出しの者…。その中で見知った顔を見つけると慌てて声をかけた。
「おい、レギュラス!」
「…なんなんですか兄さん」
「チッ…ちょっと聞きたい事があんだよ」
「早めに終わらせて下さい、僕はルシウス先輩に呼ばれてるんで」
最後の一言に思わず眉をひそめる。だがそんな事を考えてる場合ではない。シリウスは慎重に言葉を選びながら発する。
「お前、クラン家って知ってるか?」
「!な、んでそれを……」
「知ってんだな!?教えろレギュラス!」
「………言え、ません」
その言葉に思わずカッとなったシリウスはレギュラスの胸ぐらをつかんだ。鋭くなった灰色の瞳が睨み合う。
「貴方は僕たち家族を捨てた」
「オレらを道具としてしか見ない親だぞ?」
「でも僕は、捨てられません、貴方は、もうブラック家から勘当されたんですよ、ならブラック家の事はお話しできません」
そのままレギュラスは談話室へと行ってしまった。シリウスは苛つきを隠せず、傍にいたスリザリン生に糞爆弾を投げつけてからその場を後にした。
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