「ねえシリウス、あの黒髪三つ編みメガネっ娘少女、ぜ〜ったいに怪しいよね!」
「(……)あぁ…俺等が知らないグリフィンドール生なんて、クソ怪しすぎる」
「君達、かなり自意識過剰だね、…まあ、僕も知らないなんてね」
「リ、リーマスもすごい自信だね…」
「ん?何か言ったかいピーター」
「ヒイィイィッ!」
魔法薬学の授業中、見つめているのはあの昨日初めて見たアリア・オーランド。そういえば、授業でも見たことあったっけ…?彼女は視線には気付かないのか、それともスルーなのか黙々と材料も放りこみながらぐるぐるかき混ぜている。そんな仲間を気にせずシリウスは紙に何かを書き込みながらブツブツ呟いている。
「シリウス、何してるんだい?」
「いや…忍び地図にな、加工してるんだ」
「えっ…でも、不備はなかったんじゃ…」
「それがな、この地図にオーランドなんて名字がないんだ」
「そっそんな、ここ事って、ある、の?」
「あるわけないじゃないか」
ジェームズが慌てて地図を引っつかみギラギラさせた目を通す。たしかに、アリア・オーランドではなく、アリア・クランと書かれている。周りの生徒の名前は正しく記載されているはずなのに、何故なのだろうか?
「考えられる可能性は2つだけだ、1つは地図の誤作動、あるいは」
「彼女が偽名を使っているか、だね」
思慮深げにリーマスが呟く。地図は正しく作動している。つまり彼女の本名はクランである、それしかないと4人は確信した。
「で、でもどうやって…?」
「思い切って聞いちゃおうか」
キラリとジェームズが瞳を輝かせる。こういうときは悪戯を思いついた時と同じで、止める事などできない。万が一止めようとしたら……………。シリウスは思い出したのか顔を少し青ざめさせた。ジェームズはもうアリアの元に行ってしまっていた。
「やあ、アリア・オーランド…否クラン?」
「っ!」
真っ青な顔になったアリア。どうやら仮説は当たったようだ。ジェームズは深い笑みを浮かべるとさらに詰め寄った。
「君、なんで偽名なんて使ってるんだい?あ、別に脅すわけじゃあないよ?」
「あ、貴方に関係ないわ!」
「でも僕らはなんで君の事を今まで知らなかったんだろうね?これもだんまりかい?」
「………」
「困ったなあーなあパッドフット」
「言い過ぎるとエヴァンスがキレるぞ、相棒」
シリウスがチラリと斜め後ろの方を見る。どうやら遅かったらしく、鬼の形相でリリーは此方を睨みつけていた。ピーターはあまりの恐ろしさに慌てて大鍋の影に隠れていた。
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