沈黙があたりを覆う。隠れていた3人も出てきた。チラリとリリーはそちらに目を向けるが、興味がなくなったのか「レパロ、」と窓ガラスに杖を向けて呟いた。闇に紛れたローブをたぐり寄せ、そのまま何事もなかったように帰ろうとした。思わずジェームズが声を張り上げる。
「ちょ…っ、リリー!?」
「…何よポッター」
「君いま…っ」
「貴方に関係ないわ」
1人冷静に静かにリリーは言った。
「何が関係ねーんだよエヴァンス!吸血鬼だぞ!?」
「僕も監督生として、真夜中に無断な出歩きは見逃せないな…先生にも報告しなきゃだよ?」
「へーえ!」
鼻で笑うリリー。ピシッと人差し指をリーマスの鼻先に向けて、嘲笑った。
「それならルーピン、私に言う前に寮を毎晩のように出ていくご友人に忠告したら?後、先生方は貴方達より私を信頼していらっしゃるから言っても無駄よ!…それじゃあ私は帰らさせて貰うわ」
豊かな赤毛を揺らしながらまた彼女は暗闇の中に消えた。沈黙が彼等を取り巻いた。やっとジェームズが口を開く。
「僕は、リリーが何と言おうとも吸血鬼を探してみせるよ!」
「面白そうだから俺も手伝うな」
「さすが相棒!」
「え、今落ちちゃったから死んだんじゃ…?」
「あんなにリリーが冷静なのはね、死なないって分かってるからだよ…だから外に突き飛ばしたんだよ」
ピーターは真っ青になる。まだこの城のどこかに吸血鬼がいるという事に気付いたからだ。人の生き血をすする、イキモノが、このホグワーツに。
「まいすいーとはにーリリー!僕が君を助けるよ!」
「おい、管理人が来ても知らねーぞ」
「おっと!よーし、部屋に帰って作戦会議だね」
ジェームズは「リリー…」とニヤつきながら教室を出た。慌てて3人も後を追った。
まだ、教室は血生臭かった。
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