4人は地図が示した妖精呪文の教室に辿り着いた。ドキドキと高鳴る胸を落ち着かせながらそっと古びた扉を少し開けると、リリーと誰かが話をしていた。否月明かりで教室はよくは見えるが2人とも黒いローブを被っていてどちらがリリーかは分からない。やがて2人は傍に寄り添いフワリと片方がローブを脱いだ。赤い彼女を象徴する髪が肩を流れる。リリーが何か言葉を発する。その後―――
「ひいっ!」
ピーターが小さく叫んだ。三日月が照らす教室でジェームズ達が見ている目の前で、
リリーの首に牙が突き刺さった。
闇色のフードを深く被っているので誰だかはおろか、性別すら分からない。余りに衝撃的すぎて呆気にとられていたジェームズは、慌てて杖を取り出し猛スピードで教室に押し入った。
「ステューピファイ!」
赤い光線が教室を横切る。先にリリーが麻痺呪文に気付き、相手を思いっきり突き飛ばす。思ったよりも力強く跳ね飛ばしたせいか、傍のガラスを突き破り外へと落ちていった。
「…………」
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