「綱吉くん熱があったの知らないで学校来たの?」
朦朧とする意識の中、花の香りがして重い瞼を開けた。目の前をサラリと俺と同じようなハニーブラウンの長い髪が垂れる。あ、あああああ俺が絶賛片想い中のなまえちゃんだっ!
「え、っと……そ、の…ゴホッ」
「なまえでいいよ、その前に無理しないでホラ、横にならなきゃ!」
「あ、ありがと…なまえちゃん」
ベッドに逆戻りするとペタリと冷たい小さな手がおでこを覆った。「まだ高いみたい…」そう言いながら冷えピタを貼ってくれた。少しダルいのがなくなって、ようやく考える事ができた。そうだ、朝から少し調子悪かったけど、リボーンに脅されてしぶしぶ学校に来たんだったっけ。でも、なまえちゃんに看病してもらえるなんて…俺ツイテルかも。
「私今日保健委員のお手伝いでね、偶然同じクラスの綱吉くんが来てびっくりしちゃった!」
「そ、うだったんだ…ゴメンね?迷惑かけちゃって」
「そんな事ないよ!私ね、看護師になりたくて今からちょっとずつ勉強してるの、保健室の先生にも協力してもらって手当ての方法とか習ってるの」
「す、すごいねなまえちゃん…もう将来の事考えてるんだ…」
ニコニコと大人になったときのなりたい仕事、を語るなまえちゃんは輝いていた。俺は…………マフィア、のボスなんて。はは、笑えないよな。
「別に凄くないよ、綱吉くんだってなりたいものとかあるでしょ?」
「お、俺?!………ま、まぁ、普通だったらいいかな…って、こんなんじゃダメだよね」
「え、皆もそんくらいしかまだ考えてないよ?まだ大丈夫!未来なんていくらでも可能性があるんだから!」
本当になまえちゃんは、凄い。今まで悩んでいた将来の事、主にマフィアだけど…なんかすっきりした気がする。なまえちゃんと話せてよかった。
「でもボンゴレのボスだなんて凄いよね!」
「え、えぇえぇえぇっ!?な、ななななんでっ…」
「あ、私ね、ボンゴレの救護班兼特攻班所属になるって決まってるんだ!」
「そ、そうなんだ…」
「よろしくね、ボス!」
か、可愛い…!断れない綱吉であった。