ザクッ、本当にそんな音がした。ドクドクと血が流れる。目の前には綺麗な金髪。ふわふわと、昔とは違う髪型。ぺろりと頬に伝う血を流れる。


「なぁ、お前って馬鹿?」


「ご、めんなさい…」


私は約束を破った。だからベルに怒られている。



私たちは小さい頃から、いつも3人でいた。遊ぶのも、勉強も剣術もなにもかも。でもあの日から変わった。ベルが城の人たちを、殺してから。ベルは私を殺さなかった、逆にいつも側にいた。ジルは、いなくなったけど、いつも一緒に、2人でいた。


ポタポタと流れる血をただ私はうつむきながら眺めた。まるで、他人事みたいに私はこの状況を傍観している。ベルは舌打ちしてから近くに落ちてたハンカチを傷口に押しあてた。滲む赤、朱、紅。やっぱり私はベルが好き。怖い時もあるけど、依存してしまう。


「王子は、お前だけが好きなんだよ?そこ分かってる?」


「う、ん…私にはベルだけ、ベルには私だけ、よね」


「ししっ、そーゆーこと♪」


すぐに機嫌よく、キスをねだる姿はまるで、子供のようだった。輝くティアラ越しに見えた私の顔は、あんなに痛めつけられた後とは思えない程穏やかだった。








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