出会ってはいけなかった
グサッ――
私は倒れる黒装束をただ見つめていた。花畑、その場には似合わない朱と鉄の匂い。AKUMAという名の機械がケタケタと笑いながら倒れた黒に向けて死のミサイルを打った。浮き上がるペンタクル、無かった事になる身体。
「また、ひとり」
私は涙を流す、そして笑う。ロードは狂っているねぇと笑っていた。そうかな、私は純粋な気持ちで救ってあげてるんだよ?
「―――――またお前か」
振り返ると刀―――たしか六幻とかいう名前の刀よね、を構えたエクソシストがいた。きゅん、と胸が熱くなる。 眉間に皺を寄せた彼がまた口を開く。
「お前のせいで任務が増えるんだ」
「わたし、せかいのためにがんばってるのよ?」
「……?」
「このせかいはかなしいことばっかり、にくみうらみぜつぼうして、死んでくの」
「…………」
「そんなざんこくなせかいで、ひとにはいきてほしくないから殺してあげてるの」
笑う私に彼は攻撃をしてきた。手を一振りすればこんな攻撃、なくなっちゃうんだけどね。私は敢えて左に大きく飛んでソレを避けた。
「あなたにだって、こんなせかいでいきてもらいたくないの…こんな、かなしいせかいで」
「はっ、俺はこんな世界だろうと生きるって決めたんだ、ノアなんかに殺られてたまるか」
不思議な人、そう思った。
でもそういう人だからこ、そ……ってあれ?あの人、千年公が言ってた―――。
「あなたが、神田ユウ?」
「なんでノアが俺の名前を知ってるんだ…答えろ」
私は、笑った。それからアクマに命じて彼を攻撃させる。慌てて六幻を構える神田ユウを1回見てから私はロードの能力でおうちに帰った。何か叫ぶ声は扉の消滅と共になくなった。壁にもたれかかったけど、ズルズルと身体が落ちる、堕ちる。全てを認めたかった。そうすれば楽になれるから。…その代わりにたくさんのものを失う。そんなリスクを背負う勇気は私にはなかった。
「いえるわけ、ないじゃない」
エクソシストのあなたが好き、なんて。