「あ、ラビおはヨーグルトー!え、クールビズ?いつもの悪趣味のネクタイないとすっきりするね!」
「し、知らないさ…アレンはブチギレて――」
「あ、来たんだなまえ」
恐ろしい程分厚い報告書の束を片手で持ちながらにっこり笑う彼。怖すぎて逃げ出すことも出来ずに上司のアレン・ウォーカーを見つめた。彼は細身のグレーのスーツに身を包んでいるのに、何故か私には黒く見えた。
「この書類は何なんですか?僕は完璧に仕上げて提出しろと言いましたよね?そうですよねええそうですよ全く今日の会議でコレ使うんですよしかも結構重要だったりするんですよねあーこいつに頼んだ僕が馬鹿だった、あ違うこいつが馬鹿なのがいけないんだったつーか来んの遅そいんだよ」
「す、すんません…」
まじで黒アレンだ。
企画書に目を通して、もう1回自分の作った書類を見てみる。………あちゃー、ダメだこりゃ。簡単な事すら間違えてる。不要となった紙にマジックを取り出してスラスラ書く。
/(^O^)\/(^O^)\/(^O^)\/(^O^)\……
パコーン!
「ってー!」
「なにがオワタなんだテメェ」
窓を背にアレンが仁王立ちしていた。生憎もう夜で外が暗いために(般若のような)表情は確認できない。
「あ、いや、ちゃちゃちゃんとやってありますよホラ!」
「…………」
パラパラと見るとさっきのよりもちゃんとしてる中身に少し驚く。チラリとなまえの顔を見ると「ホラ、出来てるでしょ?」と誇らしげな顔。アレンはニッコリ微笑んで――――
「なら、はじめからちゃんとやれーーーー!!」
「あ、あた、頭がぁあぁあ、っ、」
平手打ちを見事にキメてからアレンは消えていった。痛みからうっすら涙が出てくる。ゆらゆらとした視界の中、自分の机の上に置いてある小さな箱を見つけた。
「………あ、食べたかったケーキ屋さんの、………まさか、」
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