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授業中、私の頭の中は(珍しい事ではないが)他の事でいっぱいだった。あの、シリウスが誘ってきた…。こんな私をだよ?今回構ってきたのはただ私にクィディッチで勝ったからであって、暇潰しになるからだと思ってた。色んな人を巻き込んでまで事は大きくなった。
「あら、珍しいわねユウナ…溜め息なんてついて」
「私、ほぼ毎日溜め息だけど」
確かにそうねと笑いながらリリーは漸く終わった授業の教科書と羊皮紙を鞄の中にしまいこみながらエメラルドグリーンの瞳をこちらによこした。真っ直ぐな視線に思わず逸らしてしまうとぷくーと不満そうな声が耳に入ってきた。
「教えてよ…って言ってもどうせシリウスでしょ?ならいいわ」
「げっ、ちょっと行かないで!一緒に行こうよ!」
「はいはい。なら教えなさいよ?私たち親友でしょ?」
女神だ…っ!抱き着くとエメラルドグリーンの瞳を緩ませてリリーは笑った。
今回の服は私には嬉しいボーイッシュな感じにまとめてくれた。いつもより短めのスカートだが七分丈の黒スパッツを穿いてるから文句なし、上もいつものセーターじゃなく数字の編みこまれた男物っぽい大きめのセーター。シンプルで気に入った。柄になくお礼を言おうと思ったけど、止めた。
「つーかリーマスに持ってこさせるな、自分で持ってこいや」
「ユウナ、独り言は1人で言いなさい」
「り、リリー…!?」
***
昼食の時間、私にとっては珍しくゆっくりと何も恐れることなく楽しむ事が出来た。悪戯仕掛人たちは他の授業でゾンコの店で買い占めた花火を暴発させ、フィルチから絶賛罰を受けている。…因みにマグル式楽しいトイレ磨き〜嘆きのマートルと水浸しトイレ編〜なんて題名が頭の中でカチカチしているのはリリーには内緒だ。(言ったら凄い目で見られるもん!泣)
「なるほどね…いいじゃない。パーティーくらい一緒に行ったら?」
「あああああのシリウスとだよ!?じゃあリリーはジェームズと行くの?!」
「行くわよ」
思わぬ解答にカラン、とスプーンを落としてしまった。慌てて拾おうと机の下を覗き込んだら屋敷しもべ妖精と目が合ってしまった。向こうはびっくりしながらひゃあと叫びスプーンを掴むと下に溶けるようにして消えてしまった。……。…は?
「言ってなくてごめんなさい。でもね、恥ずかしかったのよ…いつも貴女に愚痴ばっか言ってる相手だったから」
「…そのことは全然いいんだけど…なんで誘いを受けたの?」
私は話してくれなかった事も気にしたが、それよりもそっちが気になった。リリーはプリンを掬いながらんーっ困ったように前を見据えた。
「分からないわ…でも私を誘った時、本当に真面目に、真剣に誘ってくれたの。だから誠意を込めて、了承したのかもね」
「そうなんだ…」
「ユウナはどうなの?ヘタレとは言えちゃんと誘ってきたんでしょう?」
「(言葉に刺を感じるよリリー…)ん…、まあね…」
新しいスプーンを使ってスープを掻き混ぜながら考える。…あたし、ちゃんとシリウスに向き合わなきゃかな。
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