木枯らしが吹く12月のホグワーツ。寒さにも関わらず、熱いゲームを繰り広げている2つの影がクィディッチ競技場上空にあった。大きめの赤いボールを奪いあいながら、箒を巧みに操る2人―――。



「ほらほら!あたしの勝ちが見えてきたっ」


「ハッ!まだまだだ、ぜ!」



突風の如くシリウスは赤いローブをなびかせてクアッフルを持っていたユウナに突っ込んでいった。今は5-6、ユウナのリード。しかしシリウスが今1点加点したので同点…。


下でワクワク顔でタイムを計っているジェームズが試合終了後1分を告げる花火を打ち上げた。横目でそれを見ながら赤いボールの取り合いが更にヒートアップする。掠め取ったクアッフルをシュートするユウナ。―――3、2、1。



「しゅーりょーーーーーっ!」



ジェームズが言ったと同時に渾身の力を込めてシリウスが箒の先でブロックしながらシュートした。




「ま、けた…っ」


「っしゃあ!」


シリウスが勝った。2人はボサボサした短い髪の毛をそのままにして地上に降りてきた。片方は誇らしげに、また片方はぶすっと仏頂面で。ジェームズとピーターは目を輝かせながら2人を賞賛した。リーマスも拍手を贈っている。ちなみに勝者は敗者に命令が出来る、となんとも魅力的なものだった。シリウスはにんまりしながら問う。


「おいユウナ、俺の言う事聞けるよな?」

「っあぁ!約束だからな!宿題だって掃除だってやってやるよ!」



やけくそだった。更にシリウスはにんまり笑いながら次の瞬間ユウナにとっては屈辱的な事を言ったのだった。



「お前1週間、女らしくしてみろ!」


「………げぇっ、」


「って、ジェームズ並のクィディッチ馬鹿に出来るわけねぇよな…」


「馬鹿とはなんだ!」



「……よし、俺がプロデュースしてやる!」

「はぁっ!?」



「なんだか面白そうだね!スニベルスにも飽き…悪いと思ってたとこだしね」



嘘だジェームズ・ポッター!ユウナは顔を真っ青にして叫んだ。シリウスはもう何かを考え始めていたし、ピーターはオロオロ、リーマスはゴソゴソとローブのポケットからチョコレートを取り出して幸せそうに頬張ってた。




こうしてユウナにとっては苦痛としか言い様のない、しかし断る事の出来ないなんとも言えない1週間が始まったのであった。

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