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「ねぇ、もっとましな行き方なかったの?」
「いいじゃないかユウナ、手っ取り早い行き方さ!」
「!あ、あたしがユウナだって分かってたの…!?」
当たり前さ!とメガネは得意気に胸を張った。……さすが、学年主席。バタンとタペストリーの隠し扉をくぐりながらあたしは初めてジェームズ・ポッターを尊敬した。そ、れにしても…。
「この行き方より、鏡の裏を通ればいいのに…」
「なんだって!?他に秘密の通路があったのか!早速シリウスに教えなきゃ!」
バチンとウィンクをしながら走る走る、いつの間にか図書館の、しかもシリウスの所まで来てしまった。シリウスはリーマスと並んで本を(似合わねぇ!)読んでいた。
「聞いてよシリウス!この子が図書館までの新しい隠し通路を知ってるって」
「んあ?この子って……っ!?」
ボフン!と音がした気がした。……あの、シリウス・ブラックの顔が真っ赤だ…。隣のリーマスは楽しそうにあたしの顔を見つめた。ん?なんか口パクしてる。
「う ま く 化 け た ね、 ユウナ」
にっこーーーーり。
こいつ…侮れない!
「え、あ、えと、その、だな…この、娘が知、ってるのか?」
「この'むすめ'ってなんだよ、せめてこの'こ'って言いなよシリウス」
「う、わ、そ、そそそれで名前は…?」
まだ分からないのか馬鹿。あたしが名前を口にしようとすると後ろから手が回ってきて無理矢理押さえつけられた。
「な・い・しょ!ホラホラ教えてもらいにいこー!」
あたしの右腕とシリウスの左腕をジェームズはガッチリつかんで、司書の叫び声をBGMにあたしたちは図書室を飛び出した。
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