久しぶりに手を繋いだ、キスをした。抱き締めあって、1つになった。
本当に幸せだった。キラリと輝く薬指が嘘じゃない、夢じゃないと教えてくれる。ふとベッドからそっと抜け出して黒いページに赤インクを滲ませたような夜明けを見つめていた。
「イタリアの、朝って…」
「日本みたい、だろ?」
「!お、起きてたんだ…」
驚いた私の隣に笑って腰をおろす綱吉は穏やかな表情で私を見つめていた。
「不思議だよな、ほぼ地球の反対側なのに、朝焼けっておんなじ温かさがある…美々も、3年間離れてたのに、前みたいに俺を愛してくれていた…だろ?」
すこし自慢するように綱吉は言った。…へにょんとふわふわした頭が寝癖でさらにうねっている。きゅん。
「あ、あんまりそんな事言わないでよ!、…照れるから…っ」
かわいー、といつの間にか綱吉に抱き締められている。同じ匂いがふんわりとする、……こんな事だけなのに幸せになる。
「……俺、もっとあの時に早く決断すれば良かったって、何度も後悔してた」
「……」
「でも、こうやってまた戻れた…もう俺幸せだよ」
「綱吉…」
* * *
「はひー…、ここがイタリアですか!」
「全く、沢田もなんで外国で結婚式なんか…」
「花ったら…ショッピングにいい男、でしょ?」
「当たり前よ!ちょっとは美々の為だけどね」
「急ぎましょう!時間がありませんっ」
慌てて駆けていく彼女たちの頭上には太陽。今日のイタリアは晴れ、雲の影すらない快晴。遠くで鐘の音が鳴った。
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