* * *



「はぁ、疲れたなー」


持っていたペンを置いて、私は伸びをした。イタリアに来てから3年は経った。その間にイタリア語の読み書きを習ったり、武術に銃の扱いに剣術、書類整理に料理に大学の勉強とかなり忙しい毎日を送っていた。たまにくる花や京子ちゃん、ハルちゃんからの連絡がくるけどあまり綱吉の事は書かれていなかった。私を気遣ってくれているのだと思う。



「終わったかコラ!」


「終わったよ、コロネロ師匠」


「次はどうしようか美々、馬術でもするか?」


「ラル師匠、もう馬はうんざりですよ」



ぴょこん、と私のベッドに座る赤ちゃんを私は肩に乗っけて外に出た。暖かい風が頬を撫でる。あの日からラル師匠とコロネロ師匠は私の家庭教師になった。たくさんの事を習った。ボンゴレの事も、指輪を使った戦い方も。9代目にも会わせてくれた。どうやらボンゴレ入りを認めてくれたらしい。表向きには医療班として就職し、次期ボンゴレボスをサポートするのが私の役目と決定された。ヴァリアーという暗殺部隊にも挨拶に行った。ルッスーリア姐さんには気に入られ、何度かお茶と稽古をつけてもらっている。

「もうすぐ、誕生日だな…綱吉の」


とりあえずプレゼントは用意してある。3年間分。渡せず仕舞いだけどね、あはは。


でも一番怖いのは、綱吉が私を忘れているのではないかという事だけ。もしかしたら他の人が出来てるのかもしれない。最後まで話さずにこっちに来てしまったから、怒ってるんじゃないかな…。

通りを歩いているとコロネロ師匠の鷲が頭に止まった。…………どう見ても怪しいご一行だよね、私たち。コロネロ師匠とラル師匠は銃を調達し、私はそれの見学にきたというわけだ。ジャンニーニさん、という方が色々見せてくれた。いつも使ってるものや新作、試作段階のものなど飽きなかった。



帰り道、ふとラル師匠が私に話しかけてきた。


「そうだ、来週ボンゴレのパーティーがあってな9代目にお前を招待するように言われてきた」


「パーティー、ですか…」


「ボンゴレはよく同盟ファミリーらとそこで交流するんだぜ、格式に則ってな、コラ」


「………参加、しなきゃですよね」



パーティードレスは向こうで用意してくれるらしい。初めてのパーティー、それもマフィアが勢ぞろいの。大丈夫だと2人は言ってくれるが、あまりに実戦の少ない私が、"もしもの時"にちゃんと動けるのか…、不安だった。

 

 


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