「綱吉!」
綺麗なソプラノの声が聞こえた。振り返ると長い髪をなびかせながら可愛い可愛いあいつが走ってきた。
「美々!」
ぴょん、と飛んできたから照れながらも両手を広げて美々をしっかり抱き止めた。ふんわりと美々の香水の甘い香りと美々自身の甘い香りが俺を酔わす。少し顔をあげると恥ずかしそうに頬を赤く染めながら美々は笑っていた。
「どうしたの?こんな可愛い登場なんてしてきて」
「綱吉ワザと赤点取ったでしょ?世界史の先生がぶちギレてたから呼んでこいって」
………あーそうだ俺まだダメツナって高校は通してるんだった。勿論獄寺君や山本、美々は知ってるけどね。世界史も楽だけどリボーンも煩いしギリギリ赤点取ったんだ。先生は俺がワザと書かなかったから怪しんだんだ…はあ。
「綱吉も大変だね、でもなんでダメなままで居んの?」
「え、あ、えっと…」
「十代目はリボーンさんの言う通りになさってるだけだ、知るわけねぇだろ!」
「あ、そうなんだ…なんでだろうね綱吉」
グッジョブだよ獄寺君!なんで急に現れたのかは少し気になるけど助かったよ。獄寺君は親指を立ててからペコリと頭を下げてから去っていった。―――園芸部のジョウロを持って(…)。
「獄寺君が園芸部ってアレだよね」
「………帰ろっか、」
「え、先生のとこは?」
いいじゃん、いちゃいちゃしようよ?そう言うと顔をまた赤らめて下を向いてしまった。こんな、俺の日常、マフィアになるまでの大切な時間。
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