今日の3時間目は女子は家庭科、男子は剣道の移動授業だった。私はタルトを作ったから食べてもらおうと綱吉がいる体育館へと向かった。入口に向かうと群れがあり、綱吉と山本君と獄寺君が中心にいた。3人に今日家庭科で作ったお菓子を渡そうと躍起になってる…。私は思わず隠れてしまった。なんで、私は綱吉の彼女なんだよ?このモヤモヤは何?そんな私の目の前を走るブラウンの髪の女の子。



「ツナ君!」


「あ、京子ちゃん」


「これ、私が作ったタルトなの」


「くれるの?ありがとう」


美男美女が並んでる……とてもお似合いだと思った。胸の痛みがどんどん増してくる。その時綱吉と目が合ってしまった。っ、見ないで歪んでる私を見ないで。



「あ、美々!」



私を呼ぶ綱吉の声から逃げるように私は走った。止まりたくない、止まれない。私なんて、綱吉と釣り合わないから…。後ろから走ってくる足音が聞こえてきた。振り向いちゃダメ、きっと綱吉だもん。


慌てて綱吉が入れない女子トイレに避難した。中で化粧をしてた女の子は怪訝そうに私を見ていたけど化粧くずれを直すとさっさと出ていってしまった。それと同時に4時間目のチャイムが鳴る、綱吉は諦めたようで帰ったみたい。あ、またサボっちゃったじゃん。鏡を見ると兎の目のように赤くなった瞳が私を見つめていた。



「雨音さん?」


「…笹川さん、どうしたの今授業中だよ」


「気になったからきたの」


優しい言葉をかけてくれてるけど、顔は笑ってなかった。腕をくんで私を見つめる――というか、睨んでる。



「私ね、ツナ君が好き」


「………」


「ツナ君のアノ事も知ってるし、それの覚悟も出来てるの」


「アノ事?」


えっ知らないの?勝ち誇ったように笑う笹川さん、いつもの優しい感じじゃない。きっと、恋を叶える為に必死なんだ。可愛い恋する女の子…。それよりも……綱吉のアノ事って何?私が知らない事を笹川さんはなんで知ってるの?



「じゃあね、早く戻ってきてね美々ちゃん」



ヒラヒラと手を振ってトイレから出ていってしまった。私は呆然とドアを見つめる事しかできなかった。

 




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