「美々……帰ったのか?」


トイレに閉じ籠ってしまった美々をその場にいた女子に頼んで見てきてもらうともう居なくて、教室に戻ったらカバンがなくなってた。携帯に電話をしても出なくて、メールを送ってもすぐ返ってくるはずの返事も来ない。いつもと違う美々に気付いた獄寺君と山本も一緒に探してくれた。



「一体なにがあったんだ、雨音に」


「ツナの顔一切見てなかったのなー」


「……もしかして、ヤキモチ?」


そういえば逃げてた時にちょうど京子ちゃんからタルトを貰った。声をかけても追いかけても俺を見なかった。……それだったら可愛 い。思わずにやけてしまった。ああなんてドストライクきゅんなんだすぐ勃ちそう。そうもわんもわん考えているとツン、と肩をつつかれた。ちょっとムッとしながら振り返ると京子ちゃんがいた。


「ツナ君、今時間あるかな?」

「うーん…今美々探してるんだ」


「美々ちゃんなら帰ったよ」


そう言って京子ちゃんは俺の手をぐんぐん引いて廊下の端っこに連れていった。獄寺君たちは教室に戻ると言って反対の方へ足を進めさせた。

「…どうしたの京子ちゃん」


「あのね私…、ツナ君の事が好きなの」


京子ちゃんは手を後ろに組んで緊張しているようだった。たしかに可愛くないといったら嘘になる。でも俺には美々がいる。


「……ごめんね」


「ど、うして…私じゃダメなの?アノ事も知ってるじゃないあの子は知らないマフィ―――」


「秘密を知ってるって美々に言ったの?」

うっ、と言葉を詰まらせる京子ちゃん、俺のネクタイを引っ張って顔を近づけようとした。……正直ショックだった、たしかに中学の時はマドンナと仲良くできて嬉しかったし好きでもあった。でもそれは憧れのようなものだ、美々に出会ってようやく分かったんだ。今は愛しているんだ、美々を。肩をつかんで身体を突き放す。傷ついたような京子ちゃんの顔。


「俺が愛してるのは美々なんだ、残念だよ京子ちゃん……じゃあね」


「ツナ君っ!」



ペタンと京子ちゃんが座り込む音が聞こえた。やっと分かったよ、美々は自分が知らない秘密を京子ちゃんが知ってる事に悲観してるんだ。獄寺君に連絡を取り荷物を頼む。向かうのは美々の所。きっ と、家じゃなくてあそこだ。
―――――――並盛神社。


 




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