14番目のピンチというわけでティキとロードが先に教団へと行った。サードエクソシストたちも引き連れていくのは結界の為なようだ。私はそこに行く前にやるべきことがあった。


「…デザイアス、それは千年公の意思に反するのでは?」

「おやシャオリー!どうかしたのかい」

「今すぐその人たちを元の場所に戻しなさい」

「お主…」


私の言葉に驚くデザイアスとブックマン。ラビが意識朦朧としながらも私に気付いたようだ。手を伸ばそうとするも、腕が上がらないようだ。


「君はノアのようなものだろう、シャオリーこそ私たちを裏切るのかい?」

「裏切る…?私は14番目の為にこちら側にきただけよ」


そう、話は14番目が、ネアが居た頃まで遡る。


「ネア…どうして貴方がノアに選ばれてしまったの?!」
「君はイノセンスに選ばれるのか…まるで離れろと言われるかのようだね」

「他人事のように言わないでよ!…ネア、ネア!私の大切なネア!」


涙を流すシャオリー。ふと顔を上げるシャオリー、顔を涙で濡らしたまま歪んだ笑みを浮かべた。

「私も、ノアになる」

「何を言ってるんだシャオリー…っ!」

「貴方が居ない日常なんて嫌!」


それからネアに頼み込んで伯爵に合わせて貰い、私はノアに近い灰色の存在になった。私がイノセンスに選ばれるべき存在だということは伯爵とネアしか知らなかった。だから他のノアたちは不思議がっていた。私はイノセンスから逃れる為に精神と肉体を若くしてもらった。


「ネア…ネア…っ、私…わた、し…っ!」


ネアが死んだ日、私はノアから逃げ出した。そこにいる理由が無くなったから。だから死のうと思った。ロードとの戦いで死んだのだ。


「…まあいいわ。貴方も所詮、千年公の手の平の上の駒なのだから」

「……どこへいく」

「14番目を助けに」


もう話すことはない。背を向けて歩き出す私に向かいデザイアスが独り言のように囁いた。


「でも私にとっても大切な娘のようだったのだよ…15番目」


思わぬカミングアウトに肩が震えた。…ありがとう、こんな私を少しでも認めてくれて。私はロードの用意してくれた扉をくぐった。



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