リナリーの異変に気付いたのは、彼女を大切にしている実兄であるコムイ室長であった。

始めは同じ仲間、家族であるシャオリーの失踪に落ち込んでいるだけだと思っていた。リナリー・リーは彼女を大切にしていた。でもコムイにとっては彼女、シャオリーは神田よりもさらに扱いが難しく、それでいて強い力を持ったエクソシストだった。

教団は彼女を重宝とし、もうすぐきっと臨界者、元帥となる存在だとしていた。しかしコムイ同様、何事にも囚われない彼女は教団からしたらある意味邪魔であった。なのでシャオリーのノアの一族としての覚醒、失踪という事件は彼女を責め立てて追い出すための理由にはおあつらえむきだった。



―裏切り者であるシャオリーには死を―


大元帥の言葉を伝えた長官の言葉に一部を除くエクソシストは固まった。それは彼女がいかに彼らに影響を及ぼしているかを顕にしていた。



「シャオリー………」



なぜ尖落ちしていないのか。小さな声でリナリーが呟いた。

目は真っ赤で少しやつれて、頼り気ない足取りで廊下を歩いていた。もしかして、リナリーは本当に…。否、そうでなければいい。そう祈るような想いで彼は華奢な背中を見つめた。



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