僕の目の前には道がある。それは山があり、谷があり、歩きづらい道でもある。僕は自らその道を選び進んできた、つもりである。マナに誓ったから、イノセンスと共に戦うことを…。でもそれは僕がちゃんと選んできた道なのだろうか、誰かにいつの間にか、敷かれた道を歩いているような気がして仕方なかった。そう、彼女に溺れてからだ。





今日も沢山のご飯をティムキャンピーと貪っていると影がさした。ロールケーキを口に押し込みながら顔を上げると冷淡ながらも美しい顔をした女エクソシストが立っていた。薄い色のルージュをひいた唇が開かれる。


「またそんなに食べてるの、アレン」


「寄生型だと沢山食べた方がいいんですよ」


そのままハンバーガーを手に取るとティムキャンピーに取られた。舌打ちしてから仕方なく蕎麦をすする。あ、今ぱっつんを思い出した、苛つく。女エクソシスト―――シャオリーは僕の目の前に座り、手に持っていたオムライスを口に運んだ。ドロリとしたデミグラスソースがシャオリーの口元に………いやらしい。うっとりと見ているとふと目があった。何を思ったのかスプーンに一口分掬うと僕に向けてきた。……どうやらオムライスが欲しいのだと勘違いしたらしい。でも僕はあーん、と口を開く。シャオリーが使っていたスプーンだ…そう思うとオムライスは更に美味しく感じた。間接キス だというのに気にしないのか、そのまままたシャオリーはオムライスを口に運び咀嚼する。



「今回の任務は大変だったみたいね」


「えぇ、新しいホームになってから初めての任務のわりにレベル3ばかりで骨が折れました」

ふーん、といいながらパセリまで口に放り込むとシャオリーは立ち上がって神田とコムイ室長に呼ばれてるからと食堂から出ていった。


嗚呼僕はシャオリーに惹かれている。あの白い肌に傷をつけたい、吸い付きたい、僕でぐちゃぐちゃにしたい。僕だけのために笑い、泣き、怒り、感じ、生きればいいのに。ぐちゃり、とデザートの葡萄が指先で潰れた。舌でそれを舐め取る。甘酸っぱい。


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