「ん…ここは……」
「あ、起きましたか?あの後酔っ払っちゃったみたいなんで、俺のとこ連れてきちゃいました」
大きな天井をぼーっと見つめていた。だんだん頭が覚醒してきて、今の状況がヤバい事に気付き跳ね起きた。ベッドの横には沢田綱吉がにこにこしながら頬杖をついていた。頬杖をつくテーブルには水とサンドウィッチが置いてあった。
「はい水、二日酔いじゃないかと思ったから」
「あ、ありがとうございます…」
何か入ってるのでは、そう思っているとクスクス笑いながら、変なものなんて入ってないから、と言われた。考えてた事を当てられて少し恥ずかしい気持ちになったけどありがたく飲んでおく。頭痛が少しずつ和らいだ所でサンドウィッチもいただく、やっと彼が口を開いた。
「君を白蘭から隠してあげるよ」
「!どうして、それを…」
「嗚呼、彼も俺と同じマフィアになったからだよ」
目の前の優しげ(だけど怪しげ)な男がマフィア…いやそんな事よりも兄さんが、マフィアになってしまったという事実に驚いた。嘘だと思った、でも本当だとなぜか確信している自分がいた。
「君には俺たちボンゴレが住む所を提供するよ、でも俺たちが出来るのはそれだけ」
「(あさり…)それだけでも充分すぎるくらいですが…なぜそれだけなんですか?」
「奴らにそれなりに俺たちの行動がバレる可能性もあるからね」
あ、少しは戦えるように基礎体力はつけといてよと沢田綱吉は笑った。
「沢田つ―――」
「綱吉、」
「………嫌です、まだ」
楽しそうに笑う彼に私はちょっとばかし意地をはってしまった。それから私は提供される住む家に行くためにキャバッローネファミリーというマフィアのボス、ディーノさんに連れていってもらった。そういえば、1回フランスからイタリアの沢田さんのアジトに行ってからまたフランスに戻ってるんだ。沢田さんの自家用ジェットに乗りながら今更そんな事に気付いた。
「俺ができるのはここまでだ、頑張れよ美々!」
「ありがとう、ディーノさん」
それから1年は安全な暮らしだった。彼が、兄さんが来るまでは。
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